仲裁する僕。喧嘩する私。
~勇者視線~
「鬼神と戦うのは僕です。お二人とも協力してくださるんですよね?」
そう言って場を取りなそうとするも、二人とも納得いってない様子。
「フン、我が手を貸すのは、勇者に対してであって、そこのビッチのためではないわ」
魔神がそう言い放つ。
「はぁ!? 誰がビッチよ!彼を惑わそうとするオカマの方が問題でしょ!」
女神が勢いよく詰め寄るが、魔神は笑っている。
「我の愛がどれほどか、貴様にはわかるまい。全てを勇者に捧げようとしているのだ」
「そんなのただの自己満足じゃない! 彼のこと、何もわかってないくせに!」
おいおい、マジでやめてくれよ……鬼神どころか、こいつらの喧嘩で世界が滅びそうだぞ。
こうなったら、強引にでも仲裁するしかないか……それにしても……話が進まない……
~女神目線~
なによなによ……このオカマ……
彼のことなんて何もわかってないくせに……偉そうに「愛」とか言っちゃって……
私だって……ずっと一緒に戦ってきたんだから……
「ふん、所詮は口だけの女神。勇者に頼りきりではないか」
魔神の余裕たっぷりの態度に、ついカッとなってしまう。
「なんですって!? あんたなんかに彼の支えになれるわけないじゃない!」
「おやおや、嫉妬ですか? かわいいことよ」
そう言って魔神が不敵な笑みを浮かべた瞬間。
「はい、そこまでです!」
彼が強引に割って入ってきた。