覚悟を決めて突入する僕。意地でも阻止しようとする私。
~勇者視線~
「魔王たちが大規模な作戦を始めるみたいよ、あんたも気をつけなさい」
最近まともに戦った記憶がないぞ……だけど、本格的な作戦始まりそうだな……
「例の魔神も出てきますか?」
女神は迷うような表情をした。
「わからないわ。でも、指揮を執っているのは間違いないと思うんだけど」
「大規模な作戦か……どんなことしてくるんでしょう」
「その辺もわからないわ」
分からないことだらけだな……
僕は出発し、到着した。不穏な空気を感じる。たくさんの魔物で埋め尽くされている。
「女神様。敵の数が今までで最高です……」
僕は覚悟を決めた。雑魚は僕を見て怯んでいるようだ。うかつに攻めてこない。
それどころか、僕をおびき寄せるかのように魔物たちは避けて僕に道を開けた。
敵の作戦だろうか……僕は油断はしない……敵の本陣に近づく。何かが見えた……
そこには横断幕が【歓迎!勇者様!転職フェア!】と書いてあった。
~女神目線~
私が手に入れた情報によると、魔王たちはかなりの大規模な作戦を準備しているらしい。
そのことを彼に伝え、彼は魔王討伐へを出発した。
どうか無事に帰って来て……私は祈った。
いつも以上に私はエナジーを彼に送り、彼の様子を観察した。
今までにない数の魔物。それでも彼は勇敢に進む。
本当は……そんな危険なこと彼にさせたくない……でも……彼のため……必要なこと……
彼は立ち止った。その目の前に彼を勧誘する催しが今まさに始まろうとしていた。
ふざけるんじゃないわよ……彼を転職なんて……意地でもさせないわ……
私は転送の準備を急いだ。