納得がいかない僕。無理して強がる私。
~勇者視線~
ある日、僕は魔王討伐から戻ってきた。
相手は火炎攻撃が得意で、もう少しで僕はローストされるところだった。
疲れ果て、ボロボロの体で扉を開けると、女神がソファに寝そべってお菓子を食べていた。
何だ・・何くつろいでるの・・休日のOLですか?
「おかえり〜。で?どうだった?」女神は平然としている。
「倒しましたよ。こんがりと焼かれるところでした。何も聞いてなかったんですけど?」
不満をぶつける僕に、女神はいつも通りに逆切れした。
「は?言ったじゃない」
聞いて無いよ~!と心で叫ぶ僕。
女神はため息をつきながら、僕を見ずに口を開いた。
「ほんとダメな子ね。私がいないと何もできないんだから」
え?放置されてますよね?転送されたら僕1人で魔王と戦っていますけど?
今度は僕の目を見ながら女神が囁いた。
「次は毒耐性がいるんだからね」
もう次の世界に行くんかい!
~女神目線~
私のエナジー補給方法は、お菓子型のエナジーチャージを摂取する事。しかも専用ソファーで仰臥位になって。傍から見たら、寝そべってお菓子を食べているように見えるでしょうね。
私がエナジー補給をしている最中に彼が戻ってきた。ボロボロで髪の毛も焦げている。
やだ、涙が出ちゃう・・
私は頑張って平然としてみた。
「おかえり〜。で?どうだった?」
「倒しましたよ。こんがりと焼かれるところでした。何も聞いてなかったんですけど?」
不満をぶつけるように彼は報告している。
ダメ、もう涙がこぼれそう・・優しいこと言ったら、そのまま泣いちゃうわ・・
「は?言ったじゃない」
不満そうな顔の彼。ごめんなさい・・私がちゃんと言ってなかったから・・
私はため息をつきながら、彼を見ずに口を開いた。
「ほんとダメな子ね。私がいないと何もできないんだから」
戸惑う彼。次の魔王の情報は今から言うからね・・
彼の目を見つめて私は囁いた。
「次は毒耐性がいるんだからね」
まだ行ってほしくない・・でも行かないといけない理由があるの・・いつか伝えるからね・・でも、今はまだ言えないの・・