真面目にこなす僕。ちょっとふざけた私。
~勇者視線~
僕は魔王退治を女神に命じられ行っている。今回は魔王を倒して終了ではなく、帰るために宝珠を集めていた。そんな時だった。
「もしもし、聞こえますか。あなたの癒しの女神様だよ」
癒し?誰が・・・
「どうされました女神様。宝珠はあと2つ必要です」
また「早く帰って来い」とか言うんだろうな・・・
「残りの宝珠のヒントを聞きたくない?」
答えがいいけど、ヒントで妥協します・・・
「是非ともお願いします」
僕が返事をすると変なBGMが鳴り始めた。なんだよこれ・・・
「【あ】は井上さん、では【く】はなんでしょう?」
なぞなぞじゃねえか。答えは木下だろ・・・
「木下ですよね。あ・・なるほど」
僕は答えが分かり、この世界の聖なる樹のふもとに行きオーブをゲットした。
「最後のオーブはここだ!2÷0=」
0で割ったら解はないだろ。まさか・・・
~女神目線~
彼が魔王討伐をしている。私は待っていた。今回は、ただ魔王を倒すだけじゃなく、帰るための宝珠も集めなければならない。彼が無事に帰れるように、私は少しでも手助けしたいと思っていた。
「もしもし、聞こえますか。あなたの癒しの女神様だよ」
少しでも彼の疲れが癒されているといいな……
けれど、いつものように冷静な彼には、私の気持ちなんて伝わらないかもしれない……
「どうされました女神様。宝珠はあと2つ必要です」
彼の声を聴くたび……私は胸の奥が熱くなる……ただの報告なのに……
「残りの宝珠のヒントを聞きたくない?」
今回はいつもみたいに「早く帰って来い」は言わない……ちょっと意地悪……答えじゃなくヒント……
「是非ともお願いします」
彼が返事をすると、変なBGMが鳴り始めた。ちょっとおふざけすぎたかなと思いながらも、彼には少しでもリラックスしてほしくて、この方法にしてみた。
「【あ】は井上さん、では【く】はなんでしょう?」
まさか、こんな謎かけのようなことをしている自分に驚くけれど…彼の反応を想像するだけで、ちょっと楽しくなってしまう。
「木下ですよね。あ・・なるほど」
さすが彼、こういうことはすぐに気づく……私の気持ちも気づいてほしいのに……
「最後のオーブはここだ!2÷0=」
この意地悪に気づいた彼って……どんな顔するんだろう……ちょっとやり過ぎだったかな……