経費削減に絶望する僕。経費削減でも努力した私。
~勇者視線~
僕は女神に転生させられ、魔王を退治する使命を帯びている。休むこともなく、ただひたすらに・・・
今も女神に命じられ魔王討伐に向かっている最中だ。
「女神様、魔王の居城よりかなり離れた場所に転送されました。如何いたしましょう?」
女神のミスなのか僕はこの世界の端に転送されていた。
「失敗じゃないよ。予定通り。ちょっと予算がきつくて経費削減よ」
はい?経費削減ですか?もっと他に削ることできなかったの・・・
「かなり遠いですね」
直線距離でも何百キロあるのだろう・・・
「大丈夫!あんたならできる!期待してるわ!」
何を期待しているのですか?フルマラソン何回分だよ・・・
「帰るの遅くなりますね」
僕は新幹線じゃないの・・・
「ダメよ!早く帰ってきて!」
なら最寄りに転送しとけよ!・・・
「できる限りのことはしますが・・・」
まあ、やるしかないか・・・
「あと、そっちでオーブ集めないと帰れないから、それも急いで終わらせてね」
魔王退治して・・・さらに宝珠集めて・・・それも急ぎ・・・はい、はい・・・
~女神目線~
彼は魔王討伐に向かっている最中だった。
「女神様、魔王の居城よりかなり離れた場所に転送されました。如何いたしましょう?」
彼の報告の通りだった。上からの予算が削られ、これが限界だった。
あなたには過酷なことをさせている……でもあなたを救うのにどうしても乗り越えないといけないの……
「失敗じゃないよ。予定通り。ちょっと予算がきつくて経費削減よ」
軽めに言ったけど……本当はすごく心配なの……ごめんね……
「かなり遠いですね」
できる限りのことはしたよ……私の加護であなたは速く移動しても疲れないからね……
「大丈夫!あんたならできる!期待してるわ!」
その世界の広さなら、数時間で周り切れるんだから……
「帰るの遅くなりますね」
そんなの嫌……絶対いや……私のわがままだけど……分かってる……
「ダメよ!早く帰ってきて!」
言っちゃった……つい我慢できなかった……重たい女って思ってるかな……
「できる限りのことはしますが・・・」
信じてるからね……
「あと、そっちでオーブ集めないと帰れないから、それも急いで終わらせてね」
今回はちょっとだけ悪戯してるんだ……