ケガをしても無理をさせられる僕。彼のケガで動揺した私
~勇者視線~
僕は魔王と戦ってケガをした。無事に退治はできたが、右腕の骨が折れた。女神のもとに戻り報告する。
「今回の魔王はとても強くこの有様です」
腕が動かない事をアピールした。だが、女神の反応は薄い。
「次の世界なんだけど・・・」
いあいあ・・・ケガしたんですよ、と心の中で思う。
「せめて腕を直してもらえると」
懇願する僕に、女神の冷たい視線が刺さった。
「はあ?私に能力使わせるつもり?疲れるんですけど」
意味が分かりません!出たよブラック上司!
「このまま戦ったら僕、死にますよ?」
そんな僕の言葉に、突然泣き出す女神。
「死んだら私のもとに戻ってこれないじゃない。何言ってるのよ・・・」
めんどくせえ・・・・・・
「ならせめて、痛みだけ止めてくださいよ」
「しょうがないわね」と言いながら女神は能力を使った。
痛みが消え、そして僕はまた転送された
~女神目線~
彼は魔王と戦ってケガをした。無事に退治をしてくれた。でも、右腕の骨が折れている。私は胸が苦しくなる。涙を我慢していると、彼が話しかけてきた。
「今回の魔王はとても強くこの有様です」
彼は腕が動かない事をアピールしている。代われるのなら…混乱したまま変な言葉を口走ってしまう。
「次の世界なんだけど・・・」
違う、心配しているの。頑張ったこと褒めてあげたいの。本当は彼を魔王と戦いに行かせたくない・・
「せめて腕を直してもらえると」
そんなこと言わないで、治したらまた行っちゃう。そんなのイヤ、彼になんて言えば。今の私怖い顔してるんだろうな・・・
「はあ?私に能力使わせるつもり?疲れるんですけど」
違う、そんなこと思っていないのに。何でそんなこと言っちゃうんだろう・・・
「このまま戦ったら僕、死にますよ?」
そんなこと言わないでバカバカ・・・
嫌だ。もう我慢できない・・
私は涙をこらえきれなくなった。
「死んだら私のもとに戻ってこれないじゃない。何言ってるのよ・・・」
こんなこと言ったら、重たく感じるよね・・言わなきゃよかった・・
「ならせめて、痛みだけ止めてくださいよ」
ゴメンね。本当にごめんなさい・・
「しょうがないわね」
今すぐは治さないけど、魔王と戦うまでには治っているから。今度は無事に帰ってきて・・