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昨夜を覚えてる僕。覚えてない私。

~勇者視線~

翌日の朝、女神はテーブルでうなだれていた。どうやら昨夜のリバース騒動の後、本格的に二日酔いのようだ。


「おはよう・・頭痛いわ・・こんなの上司にバレたら・・・マジで詰むわ・・・」

女神は額に手を当てながら、うなだれている。


「上司って、本部長さんの事ですか?」

バカやろーうって言うくらいだから何かあるんだろうな・・・


「な、何で知ってるのよ?私、昨日変なこと言った?」

憶えていないんですね・・・


「女神様も大変ですね、僕も頑張りますよ」

休みをくれれば頑張れます・・・


「まあ、あんたは頑張ってくれてるわよ。ただね・・・」

何かあるんだな・・・


「その本部長さんが厳しい方なんですか?」

そんなところだろうな・・・


「ヤバいってもんじゃないわよ。ちょっとでもミスしたら魂ごと処分されるわ」

鬼畜だな、その本部長はヤバそうだ・・・


「もしかして僕の事庇ってくれてたりしてます」

僕の失敗ってどういう扱いなんだろう・・・


「あんたが考えることじゃないわよ、それより今から魔王討伐行ってきなさい」

え・・この流れで・・もう行くの・・・


「とりあえず5人パパっと行こうか?」

パパっとじゃないよ。この人も鬼か?・・・・


~女神目線~

朝の光が少しだけ眩しい。私はテーブルに突っ伏して、重たい頭を抱えていた。

あたま……ガンガンしてる……気持ち悪い……てか、彼が帰ってきたくらいから……覚えてない……


「おはよう……頭痛いわ……こんなの上司にバレたら……マジで詰むわ……」

なにも……ないよね……大丈夫かな……部屋も片付いてる?……彼かな?……


ふと、彼の声が優しく響く。

「上司って、本部長さんのことですか?」

う……えっ、なんでその名前を……?夕べ何があったの……


「な、何で知ってるのよ? 私、昨日変なこと言った?」


彼は小さく微笑んでいた。なんだろう……その笑顔、少しだけあたたかくて、悔しいくらい優しい。


「女神様も大変ですね、僕も頑張りますよ」

その言葉に、ちょっと胸が熱くなった。

こんなに健気に、まっすぐに言ってくれるなんて……。


「まあ、あんたは頑張ってくれてるわよ。ただね……」

言いかけて、私は目を伏せた……本当は、ずっと怖かったの……


「その本部長さんが厳しい方なんですか?」

彼の問いに、思わず小さく笑ってしまう。


甘いわ……あの人は厳しいなんて言葉じゃ足りない……


「ヤバいってもんじゃないわよ。ちょっとでもミスしたら魂ごと処分されるわ」

本当、冗談じゃなくて。私だって毎日、ギリギリなのに……


「もしかして僕のこと庇ってくれてたりしてます?」

その言葉に、胸がチクリとした。

うん、そうよ。言えるわけないけど、あなたのこと、ちゃんと守ってる。


「あんたが考えることじゃないわよ。それより、今から魔王討伐行ってきなさい」

そう言って、私はわざとそっけなく告げた。


「とりあえず5人、パパっと行こうか?」

そう言った瞬間、彼の顔が引きつったのが分かった。


ごめんね……でも、あなたの為なんだ……

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