パシらされる僕。秘密にしないといけない私。
~勇者視線~
僕は女神に仕えている。目的は魔王討伐のはず……と言うのも、女神が僕に魔王討伐とお使いを頼もうとしているのだが、彼女も優先順位で迷っていた。
「限定品なのよね……今回の魔王と方向逆かあ……」
僕は1人しかいない……
「まあ、あんたはなんだかんだで、できる子だからね!」
過剰に期待すると社員は潰れるんですよ……
「この埋め合わせは今度するから」
期待せずに待っていますよ……
「先に魔王でしょうか?それとも買い物?」
勇者じゃなくて、ガキの使いかよ……
「まあ任せるよ。気をつけてね」
はあ……まあ頑張りますよ……
「この時間がもったいないね。急ごうか!」
時間じゃなくて、無駄な仕事をなくす改善が必要では?……
~女神目線~
彼に頼みたいことが……でも、その内容に……私自身が少しだけ迷ってた……
「限定品なのよね……今回の魔王と方向逆かあ……」
彼の大事な使命と、今日しかできない買い物。どちらも、彼に必要なこと……
まだ彼に理由を伝えられない……
「まあ、あんたはなんだかんだで、できる子だからね!」
本当は、そんな風に追い込むのは良くないってわかってる……でも、信じてるの……信じたいの……
「この埋め合わせは今度するから」
軽く言ってしまうけど……私の中での今度は……とても大切な時間だから……
「先に魔王でしょうか?それとも買い物?」
彼の呟きが聞こえた。呆れながらも……付き合ってくれるその優しさ……胸が苦しい……
「まあ任せるよ。気をつけてね」
私は決められない……だって、彼の意思を大切にしたいから……
「この時間がもったいないね。急ごうか!」
そんな言い方したくなかった……あなたと過ごせるこの時間……私にとって宝物……