彼女を同情する僕。彼を護りたい私。
~勇者視線~
僕は女神に転生させられ魔王討伐を行っている。来る日も来る日も延々とだ。
そんなある日の事。僕は女神のもとへ戻る、彼女はお昼寝中だ。
寝とるんかーい!僕もゆっくり眠りたいよ・・・
その時、1本の電話が鳴り響く。
「ハイ女神です!」反応早すぎ・・・
とても寝起きとは思えない声で対応する女神。
「はい!はい!順調です。お任せください」
順調?また僕に押し付けるんでしょ・・・
「・・・その件につきましては」
なんだ?女神困ってるよな・・
「いえ。そういう訳では・・」
女神も上司には頭が上がらないんだな・・・
「はい、ノルマはキッチリとこなして参ります」
おい、おい、おい。どうせ僕に無茶振りして解決しようとしてるよ・・・
「はい。また報告に伺います」
まあ、この人も大変そうだな・・・
「失礼いたします」
電話を切り僕の方に話しかける女神。
「おかえり、どうだった?」
「順調に終わりました」
僕の報告に女神は何かを含むような返事をする。
「そう、無理はしないでね」
この人も僕の知らない苦労があるんだな。どこの世界も大変だよな・・・
~女神目線~
彼は魔王討伐を行っている。私はあなたを護るためのエナジーを送っています。
彼はもうすぐ帰ってくる。私はエナジーを送った影響で朦朧としていた。
ドアを開けた彼が私を見ている。
無事に帰って来てくれた・・・本当に良かった・・・
その時、1本の電話が鳴り響く。
「ハイ女神です!」
私は何とか反応できた。
「私よ。例の件は進捗どうなの?」
声の主は、私の上司、双子の姉だった。
「はい!はい!順調です。お任せください」
「そう、なら大魔王の討伐もできるわよね」
「・・・その件につきましては」
「あら?まだ無理だって言うの、使えないわね」
「いえ。そういう訳では・・」
「だったら今週中に片づけときなさい。ノルマもね」
「はい、ノルマはキッチリとこなして参ります」
「まあ、期待してないわ。頑張って」
「はい。また報告に伺います」
「失敗したら分かってるわよね?じゃあ」
「失礼いたします」
私を不安そうに見ている彼に声をかけた。
「おかえり、どうだった?」
笑顔で彼は答えてくれた。
「順調に終わりました」
この笑顔は……私が守って見せる……絶対に……
「そう、無理はしないでね」
次の相手は大魔王か・・・