聞いていない僕。言い忘れてた私。
~勇者視線~
僕は女神に仕え魔王を討伐させられている。休みもなく報酬もない。いつも無茶を言われている。今も魔王を討伐している最中だ。
そんな時に女神から連絡が来た。
「もしもし聞こえる」何だよ戦っている最中に・・・
「ハイなんでしょうか?」僕は律儀だな・・・
「言うの忘れてたけど、今回の魔王って一気に倒さないと爆発するからね」
早く言ってよ、てかやば・・・
ドガ――――ン!!!!!!!
次の瞬間、魔王は爆発した。僕は無事だったが、辺りが悲惨なことに。
「め女神様・・・・」マジでヤバい・・・
「どうしたの?」怒られる・・・
「ま魔王が爆発しました・・・」僕のせいですよね・・・・
「うわ言ったじゃん」言うの遅くなかったでしょうか・・・
「申し訳ありません」どうしようこれ・・・
「すぐ行く。待ってて」え?助けてくださるのですか?
女神が現れ爆発する前の状況に戻してくれた。
「ご迷惑おかけしました」今回は怒られても仕方ない・・・
「まあしょうがない。同じ失敗しないように、気をつけなさい」
女神様ああああ・・・・
~女神目線~
「もしもし、聞こえる?」
魔王討伐中の彼に言い忘れたことがあったの…
どうしても伝えなきゃならない。魔王が爆発するって、もしものことがあったら…
「ハイ、なんでしょうか?」
彼の応答する声に、胸がドキッとした。彼に無事でいて欲しい、その気持ちいつも以上に感じた…
「言うの忘れてたけど、今回の魔王って一気に倒さないと爆発するからね」
彼を守るためにこれで十分なはずだった…彼の反応が…少し不安…
そして、予想通りの大爆発
「ドガ――――ン!!!!!!!」
大丈夫かしら?彼は無事なの?私がちゃんと伝ていれば…
「め…女神様…」
彼の声を聞いて、胸が締めつけられる。こんなこと、させたくなかった。
「どうしたの?」
私は彼に問いかける。怒るべきなのか…心配なのか…それすらも分からなくて。彼を責めることができない自分がいる。
「ま、魔王が爆発しました…」
やっぱり、彼のせいじゃないのに、彼が責任を感じてる。
「うわ、言ったじゃん」
でも、ちょっとだけ笑っちゃった。責任感の強い彼。そこも好き…
「申し訳ありません」
彼が謝ってくる。その声に思わず心が痛む。
「大丈夫よ、すぐ行くから待ってて」
彼を助けるために、私はすぐに向かう。だって、私が彼のためにできることなら、何でもしたい。彼が無事でいてくれるなら、それだけでいい。
すぐに、私の能力を使って、爆発前の状況に戻すことができた。
「ご迷惑おかけしました」
彼は謝るけど、私はそんな必要ないって思ってる。
「まあしょうがないわ。次は、気をつけてね」
こんなことで落ち込んでほしくないから、軽く言ったつもり。でも、内心では、次こそ彼を守りたいって思っている。
私は彼を見つめながら、少しだけ笑顔を見せた。その瞬間、彼の無事が何よりも嬉しくて、また心が温かくなった。