装備が欲しい僕。かまって欲しい私。
~勇者視線~
僕は女神に仕え魔王討伐の任務を遂行している。度重なる戦いに装備が壊れた。討伐を終えて女神のもとへ帰還した。
「女神様、装備一式が壊れました。新たな装備をお願いします」
僕のお願いにため息をつく女神。なぜため息つくんだ・・・
「ものを大事にしなさいって幼稚園で習わなかった?」
大事にして来たから100戦以上使ったんでしょうが・・・
「申し訳ありません女神様」何で僕が謝ってるんだろう・・・
「しょうがないわね、新しいの用意してあげてもいいわよ」
あげてもいいわよって、何でそんなに上からなんだよ・・・
「ありがとうございます」はあ・・
「タダじゃないわよ。ってもどうしようかな?」
何言ってんだよこの人は・・・
「どうしたらよろしいのでしょうか?」
女神の命令で僕は戦っているのに、ナニコレ・・・・
「3回まわって・・いや違うな。」何させようとしてるんです・・・
「美しい女神様お願いしますって言って」もう好きにして・・・・
「う、美しい女神様お願いします・・・・」
「はーい!」神様どうか夢ならそろそろ覚めてくれませんか・・・
~女神目線~
「女神様、装備一式が壊れました。新たな装備をお願いします」
そう言って差し出されたのは、ボロボロになった剣と鎧。
こんなになるまで、戦ってたの……
でも、私がかけた言葉は……
「ものを大事にしなさいって幼稚園で習わなかった?」
我ながらヒドいなって思う……
「申し訳ありません女神様」
ふふ……怒った顔も……しょんぼりした声も、なんか可愛い……本当にごめんね。
「しょうがないわね。新しいの、用意してあげてもいいわよ」
本当はすぐに装備を用意してあげたい……
「タダじゃないわよ。ってもどうしようかな?」
どうしよう……どうしよう……付き合って欲しい……なんて言えない。
「どうしたらよろしいのでしょうか?」
彼の声がちょっとだけ不機嫌そうで、それがまた…たまらなく愛しい。
ほんと、私はどうしちゃったのかな……
「3回まわって……いや違うな」
そんなのじゃ、もったいない……
「美しい女神様お願いします、って言って?」
冗談半分、お願い半分。
お願いされるの、嫌いじゃないの。むしろ、あなたのお願いなら、なんだって叶えたい。
「う、美しい女神様お願いします……」
ちゃんと言ってくれた……ああ、好き。すごく、好き。
この気持ち、いつかちゃんと伝えられるかな?
「はーい!」
そう言って笑う私は、とても幸せそうな顔をしていたと思う。
だってこの瞬間だけは、あなたが私のものみたいだから。