監視されてた僕。加護を授ける私。
~勇者視線~
僕は無事に魔王討伐を終え女神のもとへ帰ってきた。すると女神は電卓片手に難しい顔をしていた。
「ただいま戻りました」
僕が帰還報告すると帳簿を見たまま女神が返事をする。
「お帰り、あのさ今月赤字になりそうなんだけど・・・」
は?赤字?何だそれ?
「どういうことですか?」
僕は驚愕し女神は答えた。
「あんたが魔王討伐するときに予算がかかり過ぎって事よ」
はあ?予算?使いすぎ?僕が悪いのですか?そんなに贅沢・・どころか何に使ってると言うんだ?
「僕も手伝います。原因を見つけましょう」
何で僕が・・魔王討伐して経理して何でも屋かよ・・・
「助かる!ここに明細あるんだ」
女神は僕にもろもろの資料を渡してきた。
「女神様、通信費の項目が異常に高いです。ここに原因がありそうです」
「あんた流石だね、できる男は違うよ」
「通信費の通話は問題ないのですがギガ数が異常に高いです」
「ああ、それか・・」
「ギガ数って何に使っているのですか?」
「あんたのGPS」
「はい?」
僕は常に位置情報を監視されていることが判明した・・・
~女神目線~
彼が魔王を討伐して、無事に戻って来た。私は帳簿の前で、頭を抱えていた。
このままだと、今月の予算が赤字になってしまう…
「ただいま戻りました」
その声を聞いた瞬間、胸の奥がふわっとあたたかくなった。だけど、私の目は帳簿から離れない。
「お帰り。…あのさ、今月、赤字になりそうなんだけど…」
「……は?」
彼がぽかんとした顔をしている。まあ当然か…魔王を倒して来て、こんな話されるなんて思わないよね…
「どういうことですか?」
彼の声には驚きと、少しの怒りが混じっていた。
「あなたが魔王を討伐するのに、予算がかかりすぎたってことよ」
「えっ、僕のせいなんですか?」
ちょっと怒った顔も可愛い…って、何を考えてるの…
「僕も手伝います。原因を見つけましょう」
やっぱり、この人、優しいな……そこも好き……
「助かる!ここに明細あるんだ」
私は慌てて資料を手渡した。心なしか顔が熱い…気のせいよね……
「女神様、通信費の項目が異常に高いです。ここに原因がありそうです」
「さっすが。できる男は違うね」
素直に褒めた。だって、本当に頼りになるんだもん。
「通話料は問題ないのですが…ギガ数が異常に高いです」
あ、そこ来たか。
「ああ、それか…」
「ギガ数って何に使ってるんですか?」
バレた……ここは、正直に言ったほうがいいな…
「あんたのGPS」
「はい?」
沈黙。彼の顔が明らかに固まっている。
そりゃそうよね。普通にドン引き案件。だって仕方なかったの……
本当は……あなたを守るために必要なことなんだよ……
変に監視してるとかじゃないからね……