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魔王討伐する僕。研修に行く私。

~勇者視線~

女神が温泉旅行に行くらしい。僕は魔王の討伐に行きます。

女神が不在中のスケジュールを渡してきた。

「最低でもこれくらいは終わらせときなさいよ」

女神は3泊4日の温泉旅行。僕は4日で魔王を5人討伐って。なにこれ・・・


「転送もオートで、できるはずだから」

はずって・・・大丈夫なのか?


「連絡はなるべくしないように」

は?不在時のトラブルも丸投げですか?


「まあ、本当に困ったときはここに連絡しなさい」

女神は僕にメモを渡してきた。


「女神さまにご迷惑かけないように頑張ります」

僕はそう言いながら、メモを見た。転送システムカスタマーサービスと書いてあった。


この人・・本気で連絡しないつもりだ・・・


~女神目線~

温泉旅行とは名ばかり。本部への強制研修。


「最低でもこれくらいは終わらせときなさいよ」

私が不在時のスケジュールを彼に手渡した。

見てくるその瞳が、不安そうで……少し、罪悪感。


私だって本当は、行きたくない。

あなたをひとりにしたくない。


「転送もオートで、できるはずだから」

はずなんて、不安にさせる言い方しかできない。

でも私が直接、何もしてあげられないのが悔しい。


「連絡はなるべくしないように」

——だって、連絡もらったら、私、戻ってしまうかもしれないから。

たった4日なのに、こんなにもさみしい。


「まあ、本当に困ったときはここに連絡しなさい」

精一杯の“逃げ道”をメモに書いた。

転送システムのカスタマーサービス…笑わないで。

私がいなくても、ちゃんとサポートしてくれる場所を残したかったの。


「女神さまにご迷惑かけないように頑張ります」

その言葉に、胸がきゅっとなった。


ねえ、本当は——迷惑なんかじゃないのよ。

どれだけ、あなたを気にかけてるか…

メモを見て、彼が少し笑ったように見えた。

その笑顔が、どうか最後まで曇りませんように…

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