残業させられる僕。一緒にいたい私。
~勇者視線~
女神のもとに戻ったら、彼女は大量の書類に囲まれたいた。
「あああ・・・終わらない・・・ヘルプミー・・・」
女神が真面目に仕事してるよ・・
「何か手伝えることあれば、仰ってください」
社交辞令のつもりだった・・・
「ホントに助かるわ。そうね、あんた計算強い?」
まあ人並みですが・・・
「この帳簿ですか?」
なんか嫌なパターン来たぞ・・・
「こっちのレシートと金額合わせてくれる?」
はいはい・・やりますよ・・やればいいんでしょ・・
その日の深夜にすべての書類は片付いた。
「サンキュー!あんたのおかげで助かったよ。そうだ、ちょっとこっち来て」
女神が僕を隣の部屋に誘う。さすがにご褒美もらえそうだな。
「残り物で悪いんだけど、今月中で大丈夫だから」
そこには、さっきよりも大量の書類が積み重なっていた・・・・
~女神目線~
彼が帰ってきた頃、私は書類に埋もれていた。
魔王の浄化処理の報告書、予算申請、次元修復の手続き……もう、無理。
「あああ……終わらない……ヘルプミー……」
つい、情けない声が出た、こんな姿、あまり見せたくないのに。
「何か手伝えることあれば、仰ってください」
え?思わず彼の顔を見た。……社交辞令よね?でも——
「ホントに助かるわ。そうね、あんた計算強い?」
お願い。今だけは、一緒に居たい。
彼は少し戸惑った様子で答える。
「まあ、人並みですが」
「こっちのレシートと金額合わせてくれる?」
これくらいなら、無理させないよね?……本当は、もっと頼りたいのに。
深夜、すべての書類が片付いた。
彼の隣で、私は思わず笑ってしまった。
「サンキュー!あんたのおかげで助かったよ。そうだ、ちょっとこっち来て」
お礼を言うチャンス。ちゃんと感謝の気持ち、伝えたくて。
だけど……やっぱり、素直にはなれなかった。
その隣の部屋には、さっきよりも高く積まれた書類の山。
「残り物で悪いんだけど、今月中で大丈夫だから」
ねえ、気づいてる?
私、本当はもう少しだけ……あなたと一緒にいたいだけなの。