未来の扉の先にある絶望と希望
~勇者視線~
未来の扉を開いた瞬間、空気が一変した。
押し寄せるのは、重たい、濁った空気。視界の先には、かつて知っていたはずの大地が、黒い瘴気に飲まれて崩れていた。空は裂け、紫と黒が混ざった異常な光が、雷のように世界を照らす。
「ここが……未来……」
地面は焦げ、植物は枯れ果て、建物は骨のような残骸を晒している。生き物の気配は一切なく、風の音さえ虚ろで、まるでこの世界がすでに死んでいるかのようだった。
「これは……俺たちが……負けた世界?」
理解した瞬間、背筋が凍りついた。
僕が選んだ未来は、女神が力を得る前のまま、世界が滅んだ未来だった。
その時、闇の中から何かが現れる。
それは大魔王の姿に似ている……だが、異質だった。どこか、僕自身の形にも……見える。
「お前が選んだ未来だ。抗えなかった結果だ」
僕の影が、僕を責めるように言う。
~女神目線~
彼が未来を選んだ瞬間、私の胸に、鋭い痛みが走った。
やはり……この未来を見せるのね……
私の知らない、けれど確実に訪れる可能性のある世界。
私が、彼の手を取らず、玉の力を手にしなかった未来。
全てを失った世界――その結末。
でも……それでも……彼はきっと戻ってくる……
この未来を選んだのは、絶望を見て、希望を見出すため。
気を付けて……未来は……ただの結果じゃない……選び方で……形が変わるのだから……