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巡りの洞窟と、選ばれし道「過去を見よ、未来を選べ」
~勇者視線~
洞窟の中は、時間そのものがねじれているようだった。
外から差し込む光はなく、視界はぼんやりと明るい。
壁には、無数の模様や軌道が刻まれて、回転しているようだ。
世界の時間が刻まれているかのように。
足元には石畳がある、一つ一つに違う時間が流れているようだ。
ある石では、影が前へと伸び、別の石では後ろへと逆行している。
耳に届くのは、時計の針の音――
一定のリズムが、精神をじわじわと追い詰めてくる。
進むと分かれ道が現れた。
一方には過去、もう一方には未来と書かれた扉。
どちらの扉にも、玉が浮かんでいる。中には歯車が、それぞれが逆方向に回っている。
女神が静かに告げる。
「選びなさい。過去に戻りたいのか、未来を覗きたいのか」
~女神目線~
でも注意してよ……この選択には……二度目はない……今のあなたが……何を乗り越え……
何を失い……何を望むのか……それを知るための道よ……