封じられた微笑み、祠への道。頂に眠る真実の鏡
~勇者視線~
僕達は天界で一番高い山を目指していた。山頂にある祠に鏡が祀ってあるという。
今までの女神だったら、そろそろ『しんどいんですけど』とか言ってそうだ……
「女神様、大丈夫ですか?」
「大丈夫って何が?」
「そろそろお疲れかと」
「何言ってるの、そんな状況ではないのよ」
なんか違う……今までと違う……真面目と言うか……違和感を感じる……
山を登ってるのに息も乱さず、険しい顔で前だけを見つめてる。
「……もうちょい登ったら、たぶん見晴らしいい場所があると思うんですけど、そこで休憩を……」
「時間がもったいないわ。休んでる間に、何かが変わってしまうかもしれない」
くっ……この人……いつもなら『見晴らしいいとこでアイス食べたーい』とか言ってたのに……
「……あれ?もしかして女神様、人格が統合された影響で性格変わってません?」
「え?そう?……まあ、集中してるだけよ」
やっぱ違うな……なんか神様らしくなっちゃってるな……
その時、後ろからハナの声がした。
「ねえお姉ちゃん!この岩って登るとき滑り台になるやつじゃない?」
「滑りません」
女神はそのままスルーしてスタスタ登っていく。
「僕、気づいたんですけど、今の女神様って“ギャグ無効状態”ですよね?」
「今は任務中だからね。祠の中の“鏡”にはおそらく、私たちの過去が映るのよ」
「え、それ怖くないですか?僕の過去とか、絶対しょうもないの映りますよ!中学の時の失恋とか!」
「それはそれで面白そうね」
くっ、若干反応が戻ってきた……
そして、登り続けること数十分。
目の前に視界がひらけ、山の尾根が見え始めた。
「もうすぐ……山頂ね」
女神が足を止めた。
「祠はこの先よ」
何かが変わるかもしれない。
鏡の中に映るものが、僕たちに何を告げるのか……
~女神目線~
もうすぐ鏡のもとへ着くわ……2人は驚くかしら……鏡と戦うって知ったら……