記憶の光、再びひとつに最後の女神、そして始まりの私
~勇者視線~
女神は見事勝利した。そして100人目の女神も融合した。何かを思い出し、女神が涙を流し始めた。
「女神様どうされたのですか?」
「私が完全に元に戻るためには、最後の女神と融合する必要があるの……」
「最後ですか……あ……」僕は理解した。間違いなく、双子の姉のことを言っている。
「最後の女神……それは……私の姉よ」
「……………」
そして、光の中から――彼女が…女神の姉が現れた。
「やっと、思い出したのね」
声が前より優しく感じた。
「……ごめんなさい、ずっと……」
「謝らなくていいのよ。私、あなたのずっと、傍にいたの」
女神の姉の手が、そっと女神の頬に触れる。
「もう一度、私とひとつになりましょう。今度こそ、あなた自身を取り戻すために」
「……うん」
女神は頷いた。
そして、女神たちは手をしっかりと握っている。
その瞬間、女神たちの身体がゆっくりと、柔らかな光に包まれていく。
境目が消え、重なっていく。
2人は1人になっていた。
~女神目線~
「最後の女神……それは……私の姉よ」
言葉にした瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
そして、光の中から――彼女が現れた。
「やっと、思い出したのね」
優しくて、どこか懐かしい声。
変わらない笑顔。変わらない、ぬくもり。
けれどその目は、すべてを知っていた。
私が記憶を閉ざしたことも、苦しんだことも、そしてここまで来たことも。
姉の手が、そっと私の頬に触れる。温かい。涙が止まらない。
こんなにも懐かしくて、こんなにも恋しかった。
そして、姉の手をしっかりと握る。
その瞬間、私たちの身体がゆっくりと、柔らかな光に包まれていく。
境目が消え、心が重なり、記憶が満ちていく。
――私たちは、ひとつだったんだ。最初から。
光の中で、確かに聞こえた。
「ありがとう」
「ありがとう、お姉ちゃん」
私の中に、すべてが戻った。
喜びも、悲しみも、喪失も、そして――再生も。