オチを探す僕。感謝を伝える私。
~勇者視線~
魔王を倒して女神のもとへ戻った僕。いつもと雰囲気が違っていた。
「お帰り、お疲れ様。お風呂沸かしてるから入っておいで」
え?え?なに?なに?どういう状況?
「ええっと?僕は何かやらかしましたか?先に謝っておきます」
謝罪する僕をキョトンとした表情で見つめる女神。
「疲れてるから、お風呂沸かしただけだよ。入っておいで」
なんだ?なんだ?何を企んでいる?熱湯風呂ってオチか?
「では、ありがたくお風呂いただいて来ます」
僕は警戒しながらお風呂に入った。いい湯じゃないか・・・
「お腹空いたでしょご飯できてるよ」
御馳走じゃないですか?オチは毒でも盛っているのですか?普通にうまい・・・
「今日はどうされました?」
恐る恐る尋ねる僕に女神は笑顔で答える。
「えー、日ごろの感謝だよ」
本当にオチがない様子だった。それが逆に怖い・・・・
~女神目線~
日々がんばっている彼に何かしたい。やっぱりご飯とお風呂だよね。
疲れて帰ってきた彼に、私は労いの言葉をかけた。
「お帰り、お疲れ様。お風呂沸かしてるから入っておいで」
でも彼は意外なことを言ってきた。
「ええっと?僕は何かやらかしましたか?先に謝っておきます」
私はビックリして彼を見た。
「疲れてるから、お風呂沸かしただけだよ。入っておいで」
なんでよ・・どうして警戒するの・・
「では、ありがたくお風呂いただいて来ます」
彼はやっぱり警戒しているように感じた。そしてお風呂に入って行った。
お風呂上がりの彼はさっぱりした様子だった。
湯上りの彼とか・・ああ・・いい・・ってご飯用意しないと・・
「お腹空いたでしょご飯できてるよ」
沢山食べてね・・また頑張ってね。そして、私の所に戻ってきて・・
遠慮がちに彼が口を開く。
「今日はどうされました?」
彼に私は笑顔で答えた。
「えー、日ごろの感謝だよ」
本当にありがとうね・・大好きなんだよ・・