理不尽に怒られる僕。理不尽な状況に葛藤する私。
~勇者視線~
今まさに僕は魔王退治に転送されようとしていた。事前情報によると世界は広いし、裏ボスの魔王もいるので大変そうな案件だった。
「今回はいつもより時間かかっても大丈夫だから、気をつけて」
珍しく女神が優しい。怖いな・・・
「では行ってまいります」
無事に転送された。
順調に僕は表の世界の魔王を倒し裏の世界へ入った時だった。
「もしもし、聞こえる?次の仕事入ったよ。もう帰る?」
女神からだった。
「ハイ順調です。いま裏の世界に入ったところです」
僕の返事にブチ切れる女神。
「はあ!何チンタラしてるの。早う帰ってこいや!」
はあ・・「時間かかっても大丈夫だから、気をつけて」ってあれ何だったんだよ・・
「善処します」
僕の返事にすぐツッコむ女神
「そう言うのいらないの。結果出しなさいよ!」
あああ・・・転職したい・・・
~女神目線~
彼は勇者として頑張っている。でも、無理をさせてでも、もう少し多く魔王を倒さないとだめなの。
焦らせたくはない、今回は特に大変だとは思う。それでも、急がないといけない理由もある。
私は迷ったが彼には無理をしないように伝えた。
「今回はいつもより時間かかっても大丈夫だから、気をつけて」
頑張ってるのは分かってるのでも、急いでほしい・・
「では行ってまいります」
無事に彼は旅立っていった。
しばらくして、本部から急ぎの依頼が入ってきた。
「大至急の案件よ!急ぎなさい」
本部長、私の双子の姉、相変わらず冷たい声だった。
私は焦った。時間がない。彼に無理はさせたくはない。でも、状況がそれを許さなかった。
彼に連絡した。
「もしもし、聞こえる?次の仕事入ったよ。もう帰る?」
「ハイ順調です。いま裏の世界に入ったところです」
本当はこういうことは言いたくない。でも・・
「はあ!何チンタラしてるの。早う帰ってこいや!」
ゴメンね・・
「善処します」
あなたは十分がんばっているの・・
「そう言うのいらないの。結果出しなさいよ!」
嫌われたくないけど・・あなたのためなの・・