魔王復活!悪霊撃退!女神の塩バラ撒き作戦
~勇者視線~
宴も無事に終わり、鬼子は村人たちの誤解も解け、表情が明るくなった。生贄にされるまでにどれだけつらい経験をしたんだ……
僕たちはまだまだ旅を続けていた。すべてが分かった時、鬼子はどうなるんだろう……
黄泉の世界を進んでいる僕の周りに、無数の霊か囲んできた。新たな敵か……
「待っていたぞ……」「恨みを晴らす……」「次は負けぬ……」
誤解は解けたのでは……どういうことだ……まだ何かあるというのか……
「誤解だというのがまだわからないのか?」
僕が霊に向かって叫ぶと、一際大きな霊が具現化した。
「誤解も何も我らは貴様に倒された……」現れたのは僕が倒してきた魔王達だった……まさか……この世を去ってまで恨まれているとは……
「よくぞ現れたな、勇者よ……我らの恨み、ここで晴らさせてもらう……!」
いやいや、そもそも何でそんなに執着してるのか……
「いや、ちょっと待てって。お前たちが人間を支配しようと世界征服していたから、僕が討伐したんだろう?」
「それはそれ、これはこれだ!」
何だその理屈は……
女神が唐突に現れ、面倒くさそうにため息をつく。
「あんたたち、死んでまで勇者に粘着するとか、どんだけ暇なのよ?」
魔王の一体が憤慨して吠える。
「貴様、女神か!? ふざけるな、我らが築き上げたものを滅茶苦茶にしておいて……!」
「それはお前たちがやらかした結果でしょうが! 自業自得よ!」
鬼子も不思議そうに首をかしげる。
「お兄ちゃん、知り合いなの?」
「いや、ただのしつこい元魔王たちだよ……」
魔王たちはムッとしながらも、恨みが募っているのが分かる。
「そうか……死んでも恨みを抱いているのか……分かった。じゃあ改めてここで決着をつけよう。」
「ふん、いいだろう! だが今の我らは霊体! 攻撃は通じぬ!」
うわ、確かに。どうしようかな……
すると女神がニヤリと笑って、何かを取り出す。
「こういう時はこれね!」
取り出したのは……大量の塩……
「悪霊退散! 塩ぶっかけ攻撃よ!」
バサァッ! と魔王たちに塩をぶちまける。
「ぎゃあああ! しょっぱい! めっちゃしょっぱいぃぃぃ!」
「ちょっ、やめろ! 塩分過多で死んでしまうぅぅぅ!」
「いや、もう死んでるし!」
鬼子が目を輝かせて女神に言う。
「すごい! 塩で倒せるんだね!」
「まあね、悪霊には塩が効くのよ。ついでに美味しくなるし。」
「料理じゃねぇよ!」
魔王たちは、もがきながらも少しずつ消えていく。
「くっ……こんな、しょっぱい終わり方があるか……」
「うぅぅ……辛い……口の中が……しょっぱい……」
「二度と出てこないでよ!」
霊たちは消え去り、辺りは静かになった。
~女神目線~
勇者の敵は倒したけど……これで終わりじゃないわね。黄泉の世界にはまだまだ謎が残ってる。
次はもっと面倒なやつが出てきそうね……でもまあ、塩があれば何とかなるでしょ……
塩……いいわね、塩焼きでも作りましょうか……