黄泉の国のお祭りと子供たちの怨念 〜浴衣と霊と涙の記憶〜
~勇者視線~
黄泉の世界なのにやけに明るい場所が見えてきた。怪しすぎでしょ……
「女神様、前方に怪しい光が見……」「行くわよ!」
僕の言葉を遮り女神が現れた。なんだその恰好は……
女神と鬼子は浴衣姿だった。ちょっとだけかわいいじゃないですか……
「私は何着ても似合うでしょ?」まあそうですよ……美人ですし……
「お兄ちゃんどうかな…」
鬼子は少し恥ずかしそうにしている。かわいいよ……
「2人とも似合っています。ですが、ここは黄泉の国です」
僕は照れ隠しも込め注意を促す。
笛や太鼓の音色が聞こえてくる。祭りでもしているようだ……
露店が見えてきた。僕は警戒を緩めなかった……しかし……
「何やってるんですか!」
すでに2人は露店にいた……
鬼子は射的や金魚すくい、輪投げ、くじ引きなどで遊んでいる。まあ……たまにはいいか……
女神はタコ焼き、りんご飴、かき氷、焼きそば、綿あめ。食べてばっかりかよ……
2人が堪能していると、鬼子の周りに同い年くらいの子供の霊が集まってきた。
「………ちゃんだ」「………ちゃんどうして」「何で守ってくれなかったの…」
子供たちが鬼子を責め立てる。
「………違う…私は……」鬼子が苦しみ始める。
「まだ無理しないで」女神が子供たちの霊を浄化し鬼子を抱きしめた。
いったい過去に何があったのだろう……
~女神目線~
目の前に霊たちが集まっている……この子がいた村の子供の霊もいるわね……
この子の気分転換も……してあげないと……ついでに……おいしそうね……
うーん……半分は偽物の霊ね……まあ……いいわ……安らかに眠りなさい……
ちょっと……無理させたかしら……