僕は背筋に悪寒が走る。私は命令口調で祈っています。
~勇者視線~
僕は交通事故で死んだ。
目を開けると、目の前には綺麗な女性。
「ここは……天国……?」
「いいえ、違います。あなたに力を授けます。世界を救ってきてくださいね」
彼女は女神だった。
転送された先では、魔王が人間を侵略していた。
王の依頼で、僕は魔王を倒す武器を探し、戦い、勝利した。
世界に平和が訪れたその瞬間、女神が現れた。
「よくやりました。では――次の世界もよろしく♪」
再び光に包まれ、僕の背筋に悪寒が走る。
「また私のところに、ちゃんと帰ってきなさいよ……?」
それは、命令であり、呪いのような言葉だった。
~女神目線~
彼は交通事故で転生した。
私にとって「ただの仕事」のはず…
転生システムを担当する女神なのに…
一目見て、私は確信した。
「彼……私の好みだ」
「力を授けます。世界を救ってきてくださいね」
そう言ったけど、本当は。
『私のところに必ず帰ってきて』
そう言いたかった。
世界に転送するとき、胸が少し痛くなる。
人間に感情移入するなんて、女神失格なのに。
それでも。
彼が頑張っているか、私は全部見てきた。
転生する前の人生。魔王を倒すまでの全部。
そして平和が訪れた。
「よくやりました。では――次の世界もよろしく♪」
軽く言った。
でも本当は怖かった。
また、転送しないといけない。
もう帰って来れないかも……
だから、最後にこう言った。
「また私のところに、ちゃんと帰ってきなさいよ……?」
命令のフリをして、祈るように。
それが私の、最初の束縛だった。