散歩と白昼夢
何時もは川沿いの遊歩道を川上や川下の方へ行ったり川向うの丘陵地帯に行ったりしているが、今日の散歩は趣向を変え実家があった旧市街地の方へ行ってみる事にした。
自宅がある新興住宅地からだと少し遠いがまぁ良いだろう。
国道沿いに旧市街地に向けて歩く。
国道沿いの店舗も次々と代わったなぁ。
新興住宅地に引っ越したばかりの頃はパチンコ店が軒を重ねていたが、ここ数年はパチンコ店は衰退して、コンビニや飲食店それに自動車販売店に代わった。
それでも別な店に代わるだけマシなのかも知れない。
国道から旧市街地の方へ曲がると、駐車場や新築のアパートばかりが目に入る。
実家に住んでいた頃は住宅だったり店舗だったりしたところが、住む人が居なくなったり店舗を継ぐ後継者が居なかったりで取り壊され、アパートや駐車場にされた。
3.11の地震がそれに拍車を掛けたんだろうな。
大通りから実家があった脇道に足を踏み入れた時、異常に気がつく。
目の前に、昔の5〜60年前の風景が広がっていたのだ。
右手前からパン屋、自転車屋、歯科医、お菓子屋、魚屋、銭湯、和菓子屋、左手前から米屋、文房具店、飲み屋、畳屋、醤油屋、酒屋、文房具店が並んでいた。
大通りの方へ目を向けると10階建てのビジネスホテルやマンションの姿が無くなり、5階建てのデパートが立っているだけ。
子供の頃の懐かしい風景がそこにあった。
目を瞑り頭を数度振ってから目を開ける。
白昼夢を見ていたのだろうか? 今チョット前に見た風景、脇道の両側に立ち並んでいた店舗の殆どは駐車場やアパートになっていた。
残っている店舗は歯科医とお菓子屋と酒屋に畳屋だけ、あとは実家があった場所を含め全て駐車場や更地にアパートだ。
残っている店舗も昔の店舗では無く、新しく建て直された店舗で昔の面影は残って無い。
しみじみと思う、時の移ろいは早い物だと。
昔の子供の頃の面影を残しているのは、脇道を抜け次の大通りの突き当たりにある寺などの寺社くらいだろうか?
でも、あの突き当たりに見える寺の昼間なのに閉め切られた門、昔は夜以外は開け放たれたままだったと記憶している。
此れも時代の流れなんだろうな、寺に背を向け国道の方へ歩きながら思う。
次に旧市街地に来た時にはまた幾つかの懐かしい風景が無くなり、アパートにされたり駐車場にされたりしているんだろうな。
時代の流れとは言え、物哀しく寂しい気持ちになりながら帰路についた。