第7話 魔法の鏡
シャワーを済ませて部屋に戻ると、ティナはベッドでぐっすり寝ていた。
ツヨシは静かに、「おやすみ」とささやき、ベッドに横たわった。
翌朝、ツヨシが目を覚ますと、ティナはコーヒーを飲んでいた。
「おはよう。ツヨシもコーヒー、飲む?」
とティナは微笑みながら言った。
ツヨシはゆっくりと目を覚まし、ベッドから起き上がった。
「おはよう、ティナ。うん、いただこうかな」
眠気を覚ましながら答えた。
ティナはカップを手渡しながら言った。
「朝のうちに洞窟に向けて出発しようと思うんだけど、準備は大丈夫?」
ツヨシはうなずき、少し心を落ち着けてから答えた。
「うん、心の準備はできてるよ。昨日の夜、少し考えたんだけど、これから行く先に待っているのは、きっともっと危険な試練だろうね。でも、それでも俺は、君と一緒に進んで行く覚悟はできてるよ」
ティナは微笑み、ツヨシの目をじっと見つめながら言った。
「ありがとう、ツヨシ。それを聞いて安心したわ」
コーヒーを飲みながら、二人はこれからの冒険について話を続けた。今日も長い一日になるだろうが、お互いにとっての新たな一歩となることだろう。
「さあ、準備ができたら出発しようね」
ティナが言うと、ツヨシは頷き、二人はそれぞれ荷物を整理し、部屋を出る準備を整えた。そのまま、次の目的地へ向かって歩き始めた。
その後、ツヨシとティナに、1人の盗賊らしきオッサンが近づいてきた。
「おい、お前ら。カップルでおデートかい?」
ツヨシは冷静に振り向き、手にした高級ハンマーを握りしめた。
「失せろ。でないと、痛い目に合うぞ!」
盗賊は舌打ちをし、ナイフを振りかざしてツヨシに向かって突進してきた。その瞬間、ツヨシは素早く高級ハンマーを盗賊の顔面にヒットさせた。
「グッ!」盗賊は高級ハンマーの一撃を受け、すぐにその場に倒れ込んだ。ナイフが手から滑り落ち、地面に転がった。
ツヨシは息を整えながら、倒れた盗賊を一瞥し、振り向いてティナに微笑んだ。
「やっぱり、この高級ハンマーは威力が違うな。買っといてよかった」
ティナは軽くうなずき、満足げに笑顔を返した。
「そうね、ほんとに。さすがツヨシね」
今回の戦闘は、前回と違い、ほんの一瞬で終わった。
ツヨシは盗賊から奪った5万円を懐にしまうと、再び前に進んだ。
その後も、二人は、数回の盗賊の襲撃を乗り切った。盗賊が1人の場合はすぐに倒し、2人以上の場合は無理せずに逃げる判断をし、難を逃れた。
夕方、無事に洞窟の近くの街に到着した。
「ツヨシ、まだお昼過ぎよ。こんなに早くたどり着けるなんて、思ったよりずいぶん早かったわ。ツヨシのおかげよ」
ティナの声には、少し疲れがにじんでいたが、嬉しそうな表情も見て取れた。
「まあ、これからが本番だ。気を引き締めないと」
二人はその街で、異次元の扉を開けるために必要なアイテムについて情報を集めることにした。
街の人々に聞き込みを行った結果、そのアイテムが「魔法の鏡」であることが判明した。
その魔法の鏡は、このエリア一帯を仕切る盗賊のボスが持っていることが分かった。
「盗賊のボスから、魔法の鏡をどうやって奪うかが問題だな」
ツヨシは腕を組み、少し考える様子を見せながら言った。
「うーん、暴力で奪うことは避けたいけど、うまく交渉できるかな」
ティナは少し考え込み、目を細めながら言った。
「何か別の方法がないかしら。話し合えば、もしかしたら売ってくれるかも」
「それも一つの手だな。」ツヨシはうなずきながら答えた。
ティナは頷き、ツヨシの目をじっと見つめた。二人の間に少しの沈黙が流れ、だがその沈黙の中にはお互いを信じる気持ちがしっかりと込められていた。
「よし、どんな方法でも試してみよう。魔法の鏡を避けて通るわけにはいかないからな」
「うん。ツヨシがそう言うなら、私も一緒に頑張る」ティナは微笑み、二人の決意は固まった。
(続く)