ビバルディな運転手
あわただしい日常にふと出会ったエレガントなおじさま。素敵な都会の風景に混ざって今日もどこかでビバルディ?登場人物・場所・出来事などはすべて架空です。いつもお付き合いいただきありがとうございます<(_ _)>(*^-^*)
当初「ビバルディな運転士」の題名にて投稿させていただきましたが、文中に「運転手」としている部分があるので、統一的にする意味で「ビバルディな運転手」に変更させていただきました<(_ _)>(*^-^*)
所用があった
たずねさきへ向かう為
道端で適当にタクシーを拾って
目的地を告げた
ドライバーは
白髪をわずかに残した
禿髪の
頭の形の整った
目鼻立ちのいい穏やかなたたずまいだった
車内には
ラジオ放送かなんかで
ビバルディの四季が流れ
彼は日常にエレガンスを堪能しつつ
街を流す人生を
静かに楽しんでいる感じだった
大した会話もなく
滞りなくたずねさきに
タクシーは滑り込み
私は車外へ降り立ち
背筋を伸ばして
トレンチコートを翻して目的地を目指す
ロータリーをくるりと
一周させたタクシーの運転手は
わたしに正面からにっこり微笑んで
運転席から手を振ってくれた
私も片手で振り返し
やわらかな
笑顔が
自分にも浮かぶのがわかった
いま
この街の風景になれたかな
日常を楽しむ、肩の力の抜けたおじ様。ああいう歳の重ね方をしたいなあと・・・何の会話もないけれど・・・会話がないからこそ?ラグジュアリーな瞬間を楽しんだスケッチです。登場人物・場所・出来事などはすべて架空です。いつもお付き合いいただきありがとうございます<(_ _)>(*^-^*)