会話文(本編の裏で起きていたこと)
ほぼ会話文のみです。
・部下に報告(アランが夜這いをしたと)を受けたメイソン
「…それは本当か」
「はい、陛下はレジーナ様の部屋に」
「この時間に」
「ええ」
「何だか、こう、色々な感情がこみ上げてくるな」
「全くですな、あのお小さかった陛下が」
「飲むか」
「飲みましょう」
「あああ! 本当に良かった!」
「メイソン様! 今夜は朝まで飲みましょう!」
「泣くのはまだです! 結婚式がございます!」
「あ、警備…」
「警備しなければ…」
「もう内輪だけでやりませんか、外国とか呼ばなくていいんじゃないですか」
「…」
「メイソン様?」
「面倒ごとは明日考える! 今日は飲むぞ!」
「うおおお!」
数名の騎士が二日酔いとなり蹴飛ばされた。メイソンはお酒なんて飲んでません、という顔で使用人たちからの説教を免れた。
・鳥の部隊と交渉したガレス教授
「君たちの言っていることが本当だとして、では私に何をせよと」
「何、難しいことではありません。少しばかり世間話をして頂ければいい」
「…偽の情報を流して国を混乱におとしめろと言うのか、この国で上り詰めた私に」
「上り詰めた? 御冗談でしょう。貴方方は皆、貴族の良いように使われているだけだ。上位魔道士なんてただの名誉職、その証拠にご友人の忘れ形見すら守れなかった」
「…」
「何も裏切れと言っている訳ではないのですよ。まあ、それでも嫌だとこの国に忠誠を誓っていると仰るのなら無理にとは」
「いや」
「…」
「確かに君の言う通りだ。この国はもう駄目だったんだ、本当ならもっと早くあの子を連れて出て行くべきだった。私は私が受けていた恩恵を手放すのを恐れていただけだったんだ」
「では」
「協力しよう、他にも手伝ってくれそうな信頼できる人にも声をかけておく。具体的に何をすれば良いのか教えてくれ。後、あの子のことももっと教えてくれ。元気にやっているのか」
「ええ、お元気ですよ。陛下とも仲睦まじく」
「そうか、陛下と…。…。…待ちたまえ」
「何か」
「仲睦まじいとは何だね」
「な、何と仰られても」
「あの子はまだ嫁入り前でだな!」
「落ち着いて下さい、教授!」
「声を落として下さい、誰かに気付かれたら面倒です!」
「そんなもん記憶を消せばいいんだ! そんなことはどうでもいい! レジーナは!?」
ガレス教授の仲間たちも合流し、鳥の部隊は揉みくちゃにされた。
・国民の反応
一日目・昼
「え、すごい。今日何かあったっけ?」
「うわ、天灯す陽時計が作動してる! お母さん、空が見えるよ!」
「何か知らんが有難い」
「どの位もつかなあ」
「日光だ、戴冠式以来だね」
「ほら、子どもたちはお日様に当たりな!」
一日目・夕
「赤い」
「真っ赤だ、あっちの方が燃えてんのか」
「違う、これは夕日というやつだ」
「夕日って何」
「俺も本で見ただけだからよくは分からん」
「大丈夫なの? 天灯す陽時計もずっと作動してるし…」
「何か悪いことの前触れなんじゃあ…」
「王様が変わったばっかりでそんなことは起きないよ、滅多なことを言うもんじゃない」
一日目・夜
「空が明るい」
「粒々が浮いてる」
「星空だ! 僕、絵本で見たことあるよ! すごいすごーい!」
「あれが星…」
「綺麗…」
二日目
「…晴れてる」
「え、どうしたの、怖い…」
「いや、ほら。段々雲が戻ってくるぞ」
「そうだよね、ああ、吃驚した」
「雲は無い方がいいに決まってるが、お触れもないのにいつまでも作動してるなんて変だしな」
「良かった、は、おかしいかしら」
三日目
「また晴れてる」
四日目
「まだ晴れてる」
五日目
「何がどうした」
六日目
「雲? あ、違う。雲だけど違う! 明るい!」
七日目
「…何か王城にすごい人が来てるらしいよ」
「すごい人って何」
「分かんない」
八日目
「女の人なんだと。そのすごい魔道士が天灯す陽時計を作動させてるって」
「本当に魔道士か? 古文書に出てくる救世主って方なんじゃ」
「か、かもしれんぞ」
九日目
「ママが女神様って言ってた」
「女神様ってなに?」
「トウトイオカタなんだって」
「とりあえず、すごい人ってことだよ」
十日目以降
「ああ、今日も晴れている。有難いことだ」
「保護魔道具の無い場所にも草が生えてきているらしいぞ」
「肌の色が濃くなっているのは日焼けと言うらしい。日光に当たるとそうなるのだとか」
「今日も星が見られるかなあ」
「王城の魔道士様に御礼申し上げねば」
「長が王城に参上すると、献上品をお持ちになって下さらんかなあ」
「いつだ」
「まだ王城から返事がないと」
婚約発表&結婚式日時発表
「ふぉおおおおお!」
暫くテンションがマックス。
・前女王とその周辺
「あの坊やが」
「結婚」
「…飲むか」
「飲みましょう!」
「ほどほどにして頂きませんと」
「ええい、固いことを言うのでない! 今日飲まずしていつ飲むという!」
「お体を壊します。ご自身のお歳を考えて下さいませんと」
「今は歳のことを言うな! どうあっても今日は飲むのじゃ!」
メイソンが酒飲みになったのは大体この人のせい。
・使用人たちの会話
料理人
「純然たる人族って何を食べるんだ」
「いえ、皆さんと同じ物を食べてらしたわ」
「甘味はお好きなようだぞ」
「お菓子ばっかりというのも」
「倒れやしないだろうか、あんなにも細いんだぞ」
「師父様は大丈夫だと」
「…あの方もお年ではないか」
「しっ!」
医者
「すぐにでも死にそうで怖い」
「不吉なことを言うんじゃない!」
「いや、エルフ族だってあんな感じじゃないか」
「エルフ族の自己再生能力に勝ることができる種族なんていないだろう」
「奴らがか弱いのは見た目だけだ」
「聞こえているぞ」
「測定値には問題はなかったのだから、様子を見るしかないだろう」
「…この前、潰した国の医学書を取り寄せよう」
レジーナ専属の女官
「明日はどんなドレスを着て頂こうかしら」
「お化粧はどうしましょう」
「楽しすぎるわ、女王陛下が退位されてからこういうことは無かったから」
「本当よ、それにしてもすごい方よね」
「天灯す陽時計のこと?」
「それは勿論だけど、陛下と初対面でお話されたんでしょう?」
「らしいわね。私、初めて陛下と会った時なんてずっと冷や汗をかいて、近寄ることもできなかったわ」
「皆そうよ、倒れなかっただけ偉いわ。慣れればそうでもないのだけれど…」
「それにとってもお優しいわ」
「お優しすぎるというか、控えめすぎるというか」
「もう少し何か言いつけて下さってもいいのに」
「まだこの国にいらしてそう経っていないのですもの、慣れて下さればきっと大丈夫よ」
ほぼ皆、レジーナのことが心配で仕方がなかった。
・レジーナとアラン(+メイソン)
「アラン様、あの、そろそろ部屋に戻らないと」
「…(まだ戻らないという強い意志)」
「今日は忙しかったですが、明日も仕事がございますし」
「…(離さないという強い意志)」
「ううん…」
「駄々こねてんじゃないんですよ。仕方がないですねえ、明日は一日レジーナ様を膝に乗せてて良いですよ」
「戻るか」
「え、は、閣下!?」
「はい、おやすみなさいませ」
「レジーナ(早く戻らないと明日が辛いよ、という目)」
「も、もう…!」
「?(何を怒っているのだろう、という目で部屋までエスコートする)」
忙しくてすれ違い生活になると今後もこうなる。アランはレジーナを膝に乗せることにハマったので、それを餌にすると大体のことがスムーズにいく。レジーナに拒否権はないが、多少騒ぐだけで嫌ではない。
読んで頂きありがとうございました。
もしかすると、ここは足されていくかもしれません。ネタが湧けば。




