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第5話 迷子?

「ヒドイよーアリスゥー。枕に続いて、飛び蹴りまで繰り出すなんてー」

「自業自得でしょっ!!」


スタスタと頬を膨らませたあたしは、廊下を歩いていた。


さっき何があったのか説明すると、彼奴(ローソ)の言う通り、枕を投げた後にベッドのスプリングを上手く使ってジャンピングキックをかました。

我ながら上手く決めれた。今でこそ帰宅部だが、中学の頃やっていた、ソフトボールが何かしらの効果を果たしたのかもしれない。

そのあと、のびたバカ猫を部屋の外に引きずり出すと、そそくさと貰ったエプロンドレスに着替えたと言うわけ。

カチューシャまで着けるのは慣れてなかったから大変だったけど。


「アーリスゥー」

「何よ。うるさいわね」


先をスタスタと歩く私は、急停止し、後ろをスキップするローソに回れ右をした。

すると、ローソは不気味なまでに笑顔だった。


「アリスゥー。何処に行くのか、分かって歩いてた?」

「あ・・・・・・」


や、やってしまった。

説明も聞かずにやっちゃうクセ。

よくそのせいで組立式のフィギュアも一つは駄目にしてしまう。

でも、ここで彼奴にソレをばらしたら負けな気がする。


「き、気のせいよ・・・・・・」

此方こっちさー。俺が案内したかった方向と逆方向」


紫色猫は、満面の笑み。

むか。


「さ、最初から言いなさいよ!」

「だってアリスゥーってば、面白いんだもん」

「アンタ、いい加減に・・・・・・」


急に近くの扉が開いた。

何かと思い、口をつぐむと、無気力な声とやたらテンションの高い声が聞こえ出した。


姿が見えずに続くので、しばらく、音のみでお聞きクダサイ。


「煩いなぁ…おちおち眠れやしないじゃないか…」

「そうだよね。オレイエとの愛の営みが…」


バゴッ。


「んなわけあるか…」

「あーん。オレイエの愛の手だぁ」

「キモい…」

「オレイエ〜。ソレって誉め言葉?」

「君は本当の馬鹿か…」


…と、まぁ、あたし達を無視してこんな調子で続きそうなコントをしている。


「・・・ねぇ、ローソ。コレが【帽子屋】さん?」


確か此の家は、【帽子屋】の家なはず。

でも、二人って?


「違うよ。コイツらは」


スタスタと扉に近づくとじゃれあい?を続ける二人を引っ張り出した。

首根っこを捕まえて。

ローソに捕まえられてるのは二人。どちらも小学生か、高く見積もっても、中学生の子ども。

一人は、 好奇心旺盛なクリッとした桃色の目で、栗色の髪が寝癖でピョンピョン跳ねてる。

もう一人は、トローンとした水色の目は、最初の子よりは色素の薄い茶色の長い前髪から物憂げに見え隠れしている。

可愛い。滅茶苦茶ショタ系だ。

弟にしたいなー。おねえちゃんって呼ばれたーい。

あたしは、一人妄想ワールドに行っていた。


「えーと…もしもーし?」


急に頬を染め出したあたしを不思議そうに三人は覗きこむ。

元気っ子の方があたしに指を指している。


「ねぇ、この人誰だよ?新しい玩具?」

「え?そうそう。俺の玩具。いいだろ?」

「いいなぁ。ボクにも遊ばせてぇ?」

「いいぜ?」

「やったー☆」

「何の話してるんだよ、あんたら…」


冷めた目でローソと栗毛の少年を眠そうな少年は見ていた。

そして、怨めしげにローソを睨み付けていた。


「・・・っていうか、離せ、化け猫。・・・ふざけたこと言ってないで、この(ひと)が誰なのかさっさと答えやがれ・・・」


はっとあたしも現実に戻された。


「そうよ。ローソが紹介しなきゃ分からないじゃないの」


二対一で負けたのか、パッと手を離すと、頭の横に両手をあげた。


「はいはい、俺の負け。コイツらは、【帽子屋】のとこに居候してる、【三月ウサギ】のラーシュ(ゆるい)と【眠りネズミ】のオレイエ(まくら)。どちらも登場人物(プレーヤー)だよ、【アリス】」


「「アリ…ス?」」


少年たちの顔が不安げに一瞬曇ると、パアッと明るくなっていった。


「「ボク(僕)の【アリス】!!」」

「うわっ(汗)」


ジャーンプッ(はーと)って具合に私の胸に飛び込んでこられた。

うん。

何だろう。

無邪気に飛び込んでこられるのは嬉しいんだけど、君ら、あたしを押し倒してるよ。

それに…


「ラーシュくん!どこ触ってんのーっ!!」


ラーシュくんは、あたしの胸に手を置いている。


「俺も〜♪」

「ローソは来んな!」


飛び込んでこようとした変態猫男に近くにあった花瓶を投げつけた。




ストラァーイク。


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