タイトルなし
たまに思うんです。失敗を重ね続けてきた私だから、思うんです。
今、ここにいる私が、一度も失敗をしていない人間だっだら、どんなに満たされていたことなんだろうかって。
今まで生きてきた。それまで時間は、笑われてしまうほど短い時間だったかもしれない。だけど、そんな時間の中で私は、数え切れない失敗を犯してきた。
誰も咎めない。誰も責めることがない。そんな失敗もあった。というより、そんな失敗の方が多かった。
でも、それを咎めて、責めて、軽蔑してきた奴は確かにいる。
それは私。誰でもない、紛れもない自分自身。今から、過去を呪った私。
過ぎてしまったことは、あとからなんとでも言える。もっとこうしていればなんて、そんなの簡単に言ってしまえる。
だから、そっちの方が簡単だから、過去の自分を呪っている。
後ろばっか見て、前を見ない。そんな生き方をしている。
私には、何も無い。持っていたものも、拾ったものを、失ってきたから。手を伸ばしても、届かなかったから。
友達も家族も恋人も夢も希望も自分も。
残っているのは、薄っぺらな笑顔だけ。
――――――――――だから、さようなら。
最後に残った笑顔にも、これでおさらばだ。
これで、私には何も無い。
声が聞こえた。
「じゃあ、今目の前にあるものは?
手を伸ばせば、届くかもしれないものは何?
目の前に広がる景色は何?」
「その景色をよく見てみなよ。
希望はあるかい? 夢はあるかい? 大切な人はいるかい?
それがないなら、サヨナラだ。それでいい。
でも――――――」
「何かあるなら、手を伸ばせ。
その景色は、成功していたら見れていないものだろうから」
「全てに満たされていた世界になんて、サヨナラしましょう」