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第五皇子はどこへいく!  作者: 太白
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死した者と生きた者

本日三投目です。

かなり残忍な記述もあり、また最後は著者自身も胸糞わるくなる表現になってしまいました。

血が苦手な方や暴力的な表現が苦手な方はご遠慮ください。申し訳けありません。

あくまでも物語だとご理解いただき読んでくださいますようお願いします。

 絶望が支配する小屋の前。背後から飛び出してきた影が、呆然と立ち尽くす陽明の前に立った。

「坊! 間に合ったか!」

 叫んだのは華鳳かほうだった。


 事の起こりは、昨日に遡る。脩璃しゅうりの異変を察していた梅花ばいかが、彼が消えた倉庫から「雲紋鳳凰図の布に包まれた偽銀貨」を見つけ出したのだ。侍女の手に負える代物ではないと悟った彼女は、意を決して中郎軍の華鳳にすべてを打ち明けた。

 銀貨を一目見た華鳳は、それが国家を揺るがす偽金であることを見抜き、馬を飛ばして西市へ向かった。そこで朱全から脩璃たちの行先を聞き出し、間一髪でこの場所へ辿り着いたのだ。


 華鳳が剣を抜き、前に出ようとしたその時――。

「華鳳ッ!! 手出し無用だ……!!!」

 子供の喉から放たれたとは思えない、地響きのような怒号が周囲を震わせた。

 百戦錬磨の華鳳の手が震え、陽明は恐怖で膝を突いた。


 華鳳は見た。脩璃のいつもの柔和な顔は消え、そこにはただ、標的を屠ることのみを目的とした純然たる「殺意」の塊があった。

 脩璃は一歩、また一歩と、レンを刺した男へ近づく。その背中からは、異様なまでのプレッシャーが渦巻いていた。


「フン、お前も同じように料理してやる!」

 逆上した男が短刀を突き出す。だが、刃が届く直前、脩璃の姿が掻き消えた。

 男が目を見開いた瞬間、左膝に凄まじい衝撃が走る。激痛に男が地面へ倒れ込んだときには、すでに短刀は脩璃の手に渡っていた。


 脩璃は男の髪を掴んで強引に引き起こし、喉元を剥き出しにさせた。

「――ガッ……!?」

 一切の躊躇なく、短刀が男の喉を横一文字に裂いた。

 鮮血が噴き出し、男は泡を吹いて悶絶する。だが、脩璃の復讐は止まらなかった。絶命すら許さぬほどの冷徹な所作で、男の首を完全に「切断」せんとするその狂気に、周囲の男たちは腰を抜かした。


 切り落とした「それ」を、震え上がる残党たちへ無造作に投げ捨てる。脩璃の顔は、驚くほど無表情だった。

 恐怖に駆られて逃げ出す三人の男を、華鳳が瞬時に無力化し、昏倒させた。


 血まみれの短刀を手に、倒れた死体へさらなる刃を向けようとする脩璃。

 その時、ようやく正気に戻った陽明が、脩璃の腕を掴んだ。

「脩君、しっかりしなさい!!」

 乾いた音が響く。陽明が脩璃の頬を全力で叩いていた。

「人であることを捨てるつもりですか! 人を助けたいと言った、あの貴方はどこへ行ったのですか!!」


 陽明の涙ながらの叫びに、脩璃の瞳にわずかな光が戻った。

 手から短刀が滑り落ちる。次の瞬間、脩璃は糸が切れたように、陽明の胸の中で泣き崩れた。


 一方、華鳳は重い足取りで小屋の中へ入った。

 奥で倒れていたのは、コウだった。衣服を剥ぎ取られ、体中に爪痕と痣を刻まれた無惨な姿。太ももを伝う血が、彼女が受けた地獄を物語っていた。

 華鳳は激しい憤怒を押し殺し、自らの上着を脱いで彼女を優しく包み、抱き上げた。


 夕闇の雑木林に、自分を責めるように泣きじゃくる少年の声だけが、虚しく響き渡っていた。

前書きに書きました通り残忍でしかも胸糞悪い終わり方になりましたが、読んでくださりありがとうございました。ご批判はあると思いますが、どうぞお許しください。

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