天才と災い転じて?
まぁ色々あって首都ベンゼンの広場に到着した。
俺は早速そこらの町人に声を掛ける。
「失礼、この街には何があるんだ?」
「城がある」
「そんなことわかっている。他のだよ」
城下町だから城があるのは当たり前だろ。
「え? 他のだと? ええと……武器屋と防具屋と雑貨屋と宿と図書館。ざっとこんなくらいかな」
「図書館……!」
俺は図書館という単語に反応してしまった。
学校では図書館だけが友達であったから図書館は大好きだった。
「サンキューな。 ありがとう」
そう言って町人と別れを告げ、防具屋へと向かう。
「あの人、バカでも流石に自分の街の情報くらいはわかるんだな。見直した」
早速図書館を漁りにでも行きたいところだが今は防具だ。
最初の村では武器屋や防具屋が無かった。武器は初期装備があるから、しばらくはなんとかなるとして、問題は武具。
防具は無慈悲ながら初期装備に含まれてないので早急に取り揃える必要がある。
「よし、ここか」
防具屋に到着した。
幸いさっきの広場から近くだった。
当たり前だが、迷う事なんてなかった。
俺は早速入店した。
「そういえば、俺は何か持っていたっけ……」
この世界に来てから一回も持ち物を確認していない。
体を適当にポンポンと叩くと
目の前に仮想表示が出て来た。
「うおっ! なんだよこれ……」
いきなり現れた物に戸惑いを隠せない。
「まるでVRMMOみたいだな。」
実物は何回かしか経験していなかったが、
たしかにそれはVRMMOのそれと似ていた。
「持ち物は…回復薬3つ、それと……手紙?」
宛先は俺だ。
「えっと? 何々?
ーーーー親愛なるアカギ様へーーーー
この度は、世界の異常より不本意ながら異世界生活
いかがお過ごしですか?
ホントはあと20年くらい生き地獄だったんだよ♪ 災い転じて福にできたじゃん。おめおめ。
新しい人生、頑張ってねwww
あ、あと同封した全世界地図は餞別のつもりだよ。
せいぜい頑張ってねwww
なんだこいつ……駄女神って奴じゃん……」
俺は猛烈にあの女神とやらに殺意を覚えた。
「次会ったらただじゃおかねぇ。覚えとけ」
そう言ってもその手紙の同封物、全世界地図は
有り難く頂戴した。