天才とバカの世界
「なんだよここは……バカしかいないのか?」
件の転生から二週間ほど経った。
ようやく異世界の生活様式にも慣れてきて、周囲の町や国を回ってみたのだが……
本当にバカしかいない。
「こんなので良く今まで持ってきたなぁ、オイ」
そこら中の村人たちはもちろんのこと、
たまに巡回に来る兵士もはっきり言ってバカだ。
特に酷いのは戦の戦法。
10分ほど観戦してダメな点を挙げると、
・陣なんて物はなかった
・守り?なにそれおいしいの?
・正面突破しか頭にない脳筋野郎
まあ、これ以上挙げたらキリがない。
こんなんでお国守れてんの? バカなの? 死ぬの?
(もっともこの世界の人々が全員バカだから均衡は保たれているらしい)
ふと、俺は妙案が浮かんでしまった。
「あれ? この世界で軍師になったら最強になれんじゃね?」
『なんて夢物語を』と、俺も最初はそう思った。
まあ、なんやかんやでラノベみたいな展開にしたいし、近くの国にでも仕える事から始めようか。
とりあえず、そのバカの城にでも行ってみるか。
まぁ、この国が余程の独裁者だったら内通して中から瓦解させようとも考えたが、要らない心配だった。
「やっぱり大丈夫か、このパターンだと王もバカそうだし」
こうして俺は独り合点し、その国、ルクシア国の王のところに赴くことになった。
現地までの金はそこらの雑魚モンスターを倒して手に入れた。
初期装備とやら、なかなか使えたな。
能力詳細
旅立ちの剣
レア度 :commonplace
能力 :STR+12
RES+21
説明
俺が最初から何故か持っていた剣。
所有者の知力を挙げる
この世界で知力は重要なパラメータだと思う。
この世界がバカ(つまり知力最低レベル)だからな。
味方のパラメータ調整の仕方も考える必要がある。
てか、なんでモンスターがいるのに他の国と戦争して……
そうか、バカだからか。
この世界の不条理には全て「この世界の人が全員バカだから」で証明できそうだな……
そうこう考える内にルクシア国首都のベンゼンに到着。
城がある、それを除くと特に首都っぽく見えねぇ。
・城壁がない。
・門番が居ない。
・堀らしきものも見えない。
ここは本当に首都なのか? 本当にこの国大丈夫かよ……
本当にモンスターどもが束になって襲ってきたらどうするつもりだったんだよ。
「一概にモンスターも全員バカとは言い切れないからなぁ……」
門番も居ないのであっさりと侵入出来た。
この国のガバガバさには本当にびっくりだな。
今の時代までよく持ったな。尊敬するよ。悪い意味で。