天才と転生
ーーーー俺は今から飛び降りる。ーーーー
俺の名前は上野赤城。
まあ覚えても無駄だ。今から自殺するのだから。
何故かって?
この世界、この運命に嫌気がさしたんだよ。
簡単に言うともうこの世界がどうでもよくなってきたん
だ。
俺は昔、虐められていた。もっと言うなら現在進行形で社会に虐められている。
学校で。周りの人間よりちょっとだけ頭がいいからと虐めの標的になっていた。
(周りから優れている物は虐めるのが当たり前)
それがこの国。
社会で。俺が優秀だから周りは俺に仕事を押し付けてばかり。しかもそれを自分がやったと偽っている。
(自分が楽をしたい。周りの人間なんでどうでもいい)
それが人間。
今迄は何とか根性やらで耐えて行く事が出来たんだが、
ある日突然、『もういいか。死のう』と思ってしまった。
もうこの世界に意味なんて無い。
せめて今から行く世界が今より良いものでありますように。
俺はひょいと手すりに登り、地面に向けて飛び立った。
躊躇いなんてなかった。
後悔なんてなかった。
この世に遺したものなんで半ばどうでもよかった。
「あはは。せめてバカになってたらなぁ、今より幸せだったのかな〜」
ドガシャッ。
地面に激突した。辺りが悲鳴で沸く。
晒し者になったって別に良い。
旅の恥はかき捨てだってね。
「これで…やっとこの塵みたいな世界から抜け出せる…」
……。
………………。
………………。
暫くして、俺は地面にうつ伏せになって倒れている事に気づいた。
ふと、その場にいたところから起き上がる。
飽きるほど感じた『俺の体』の感覚だ。
それに飛び降りる前の記憶もある。
「なんで……生きているんだよ……俺……」
自殺が失敗したのか。
辺りにはいつもの街にはどう見ても見えない、平原が広がっていた。
遠目で見ると、動物ではない物が蠢いているのも見える。
その時、俺は自分が置かれた立場に気づいた。
「まさか……転生したのかよ……全く、運が悪いな……」
なんでよりにもよって俺が。
こうゆうのは大体不慮の事故に巻き込まれるバカな奴が連れて来られるパターンだろうが。
「仕方ない……こうなったらこの世界で楽しく暮らすしかないな……」
こうして俺は、不本意ながら異世界生活を決意するしかなくなった。
もう少ししたら続編出します