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護衛のウサギさん


「なるほど。このダークラビット…ちゃんって、この森の魔物より強いですよね。監視と、いざという時の護衛役両方を兼ねてるってことですか?」

「そのとーり!!こう見えてこの子頼りになるのー。」



ニコニコと笑うポリーヌ先生の腕にダークラビットがぴょこんと飛び乗る。か、可愛いじゃないか。

あ、糸は解除しましたよ。当たり前じゃないですか。


そして先生からはよくぞ見破った!!とお褒めの言葉を頂きました。

曰く、従魔の存在に気づく生徒が全くいないわけじゃないけど、非常に稀とのこと。おお、やったね!



「まあ、引き続き頑張ってね。大丈夫。この子賢いから邪魔するようなことは無いから。」

「あ、はい。」



先生がそう告げると、ダークラビットちゃんはその腕から飛び上がり、そのまま空中でくるりと回ると、すっと闇に消えた。おおっ!!



「消えた!」

「こうやって、闇に隠れるの。」



えっへんと得意げな先生。やっぱり自分の従魔は特別可愛いみたいだ。


さて、先に森を出る先生の背中を見送った後、私達も同じ方向へ進みだす。



程なく森を抜けるが、森の外もすでに結構暗かった。どうやら日没ギリギリだったようだ。良かった。間に合って。

しかし、ぼーっとしても居られない。完全に暗くなる前に野営の準備をしなければ。

場所は確保してあったし、必要な物の場所も把握してあったので問題なく準備は進む。事前の調査って本当に大切。


そして今日のメイン?イベント。



「肉焼くぞ!」

「「「わーい!!」」」



本日捕ったフォレストボアのお肉です!!


肉は数日置いた方が熟成して柔らかく美味しくなるのは、この世界も同じだ。

しかし、工夫次第では当日でも美味しくいただくことはできる。ちょっと硬いけどね。


特に冒険先でそんな肉をわざわざ熟成させるような暇はない。

だから、新鮮すぎるお肉でも美味しく調理するための道具や、調味料が売られているのだ。もちろんちゃんと私達も持ってきたよ!!



「よし、いい感じに馴染んでるな。」



実は解体をした時、今日食べる分の肉にはその調味料をまぶしておいたのだ。

下準備、大事。ほんと、前世の私に心から聞かせたい言葉である。



「よし、叩くね。」

「俺たちは火の用意をしておく。」



私は取り出した肉叩きでお肉を叩く!筋も切る。

まぶしてある調味料と合わせてちょうどいい味になるように他の味付けを調整し、ベリリアント君たちが用意してくれた鉄板で焼く。

味付き焼肉だ!!


あ、フォレストボアも良く焼きです。火の通りが悪いとお腹を壊すよ。なんか、本当に豚肉っぽいなぁ。



「美味しい!」

「だねー。」



香ばしく焼けた肉を皆で頬張れば、それだけで幸せである。

下準備の甲斐あって、お肉はちゃんと噛み切れるくらいに柔らかくなっている。あの調味料開発した人、ありがとう。まさにあっぱれである。



「肉があるとやっぱり食べ応えがあっていいな。」

「力がわく!って気がする。」



パンとか携帯食は持ってきてあるけど、やっぱりお肉の力は偉大である。

ちなみに焼いた肉の一部は明日の昼食用に充てた。

慣れた冒険者だと、冒険の間の時間を生かしてベーコンとかジャーキーまで作っちゃう猛者もいるらしいけど、それはまたいつか。実習の間じゃ日数が短すぎて無理だしね。



さて、腹ごしらえもすんだことだし、諸々の準備も終え、今日も早めの就寝である。明日も早いからね。

野営も慣れたもんで、片付けの手際の良さもどんどん上がっている気がする。これはレベルアップといえるのではないだろうか。





さて、真っ暗な小屋の中。

お布団にくるまれば、自然と眠気が襲ってくる。



「サラ。」



が、うとうとし始めた頃にグレッチェンちゃんから呼ばれ、私は目を開く。ん?どうしたんだろう。



「ん?」

「今もいるの?」



その問いかけにピンときた私は周囲を探る。



「あ……いるねぇ。」



いると言ってもお化けではない。


私たちの小屋の入り口に近い方の端っこ。

ダークラビットちゃんの気配がほんのりそこにある。


食事の間も、色々動きまわっている間も、ダークラビットちゃんは近くにいた。職務に忠実だな。

相変わらず姿は闇に紛れ込ませたままで、視認することはできない。監視と護衛は今も継続中みたいだ。


夜中はどうするんだろう。前世でウサギはぐっすり眠ることは無いって聞いたことがあるけど、ダークラビットちゃんもそうなんだろうか。



「そっかぁ……私イマイチわからないんだよね。」

「そうなの?」

「俺もわからん。」

「……ぼくも。」



口々に言われてちょっとびっくり。

確かにわずかな気配ではあるんだけど…いるのは間違いない。

場所を伝えてみたんだけど、それでもわからないようだ。マジか。



「サラは、魔力の感知が得意なんだな。」

「かなぁ?」

「少なくても僕らの中では一番だ。」



先生の口ぶりからしても、他の人より感知が上手いのは確実だよね?とソーン君。なんか珍しく口数が多めだ。

多少は私達に慣れたんだろうか。それとも興味のあることは口数が増えるタイプなのだろうか。



「ま、明日も頼んだぞ。怪しい魔力を捉えたら皆に知らせてくれ。」

「ん?うん。」



探知レーダーみたいなものか?まあ、それが得意ということなら、それを活用しない手は無い。

手段は多い方がいい。


そのまま簡単な打ち合わせをして、私たちは今度こそ眠りにつく。



明日はどこまで行けるだろうか。

中間地点?それとも最深部?

ヤミキノコは見つかるかな?途中にあるという薬草の草原に薬草は残っているだろうか。



そんなことを考えながら、私は眠りに落ちる。

冒険にわくわくするというのは、こういった感覚なのかな?


危険ももちろんあるけれど、こういった感覚を味わいたいからこそ、冒険者になりたがる人が跡を絶たないのかもしれない。

そんなことを考えながら、私の意識は深い眠りの中に沈んでいった。


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