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美少女は辛いね


卒業パーティーから早2か月が過ぎた。

ディアンとシャルロッテは予定通り上級学校に進み、私たちは五年目に突入。早いものである。


(あれから、二人からは何も連絡ないなー。)


お互いバタバタしていて、そんな暇はとてもなかったのだ。

それほど、この五年目は忙しい。思った以上に。


しかし、弱音を吐いてはいられない。

私は、決めたのだ。


(最終的な人生の目標はともかく、進学するなら、本気でやる!全力で!)


我ながらスロースターターだと思うけど、やっと、やっと気づいたのだ。

こんな半端な状態で進学するなんて、他の同級生や、まだまだ学びたかったけど環境やらなにやらでそれを許されなかった子に対して失礼にも程がある、と。


ちなみに、私の現在の成績は中の上ってところだ。

上級学校に進むには前世の学校のように入試を受ける方法と、推薦を受ける方法がある。ちなみに入試に関しては王都の学校に通っていない子も受けられるらしい。

王都の学校に通っていない子の中には、私達と同じくらいの年齢でも冒険者として既に活動している人もいる。実戦で鍛えてる分、実力そのものはもしかしたら私達より上なのかもね。


(まずは、確実に推薦を取れるだけの成績を取ろう。)


今までの私の成績は前述の通りだが、授業態度や素行の面でも特に問題ない……はず。まあ、元々そんなに校則等については厳しくないというのがあるけれど。

制服はあるけど、髪型とかなんて自由だしね。大体いろんな種族があって、前世とは比べ物にならないレベルであらゆる個性が強い世界である。見た目に関して前世並みの規制をかけるのは無理っていうもんだ。


ちなみに、五年生では今までとは比べ物にならない程屋外での実習が増える…らしい。まあ、既に今年に入ってもう二回あったからね。

あんな風にカナハさんやヒューナさんに連れられて学校外での戦闘を経験したものの、正直まだ怖い。私はビビリなのだ。


でも、怖いけど……。


(女には、やらないといけない時ってもんがあるんだ!!気合じゃぁぁぁ!!!!!)

「…なに百面相してんの、サラ。」

「うぉ、グレッチェンちゃん。」

「ほら、集合場所に行くよ。」


いきなり声をかけられて、言葉通り飛び上がる。

顔を上げれば、あきれた表情のグレッチェンちゃんがいました。

ああ、そうだ、今日は今度の実習の顔合わせがあるんだった。


次に行う実習は、クラス内で組んだペアの相手とともに別クラスのもう一組とパーティーを組んで行うものだ。

ちなみにこの学校、クラスが多すぎるせいでくじ引きなんてしていると文字通り日が暮れる。

なので私たちのクラスは、もう一つ別のクラスの人とパーティーを組むこととなっている。それぞれのクラスでくじを引き、同じ番号をひいた組同士がパーティーとなる。


「私たちは……11番か。」

「11番の人達ー!」


集合場所である中庭で声を張り上げると、少し離れた所から返事が返ってくる。


「俺達だ。」

「よろしくお願います……って、あ、ベリリアント君。」

「ん?お前は……サラだったか?」


なんと、同じ東ラクラエン出身のベリリアント君だった!あの鮮やかな警告色ヘッドは相変わらず。しかも背がかなり高くなっているから、ぶっちゃけ妙に迫力が出てきてしまっている。


「もう一人は?」

「あー、こいつだ。」

「あ、やっぱり?」


と、なるともう一人はだいたい想像がついてたけど、ソーン君だ。

相変わらずぼーっとしているというか、つかみどころがないというか。


「久しぶり。よろしくね。あ、こっちは。」

「グレッチェン・リードです。よろしく。」

「ああ、俺はベリリアント・ラーだ。こっちのぼーっとしてるのはソーン・ルブルフ。サラとおんなじで東ラクラエンの出身だ。」

「まさかの東ラクラエン三人かぶりとか。まあでもコミュニケーション取る上で有利かな。」

「だな。よろしく頼む。二人とも。」


そう言うと、半強制的にソーン君にも頭を下げさせ挨拶させるベリリアント君。

相変わらず迫力のある見た目とは裏腹に、面倒見がいい。


今日は顔合わせだけなので、そのまま解散となった。本番は三日後だ。

そして教室に戻る途中、グレッチェンちゃんがこっそりと耳打ちをしてくる。まあ、大体の想像はつく。


「…あのベリリアント君だっけ?見た目おっかなそうだけど、いい子っぽいね。」

「そうなんだよね。ギャップ凄いでしょ?ソーン君は中身もあのままっぽいけど。」


でも、意外なところに気づいて対処できる子なんだよね。天才肌というか。

そう告げると、グレッチェンちゃんははぁぁっっと息を吐き出した。な、何事。


「ラクラエンって、面白いねぇ。」

「……ちょっと。どういう意味。」

「褒めてるんだよ。」

「ほんとぉ?」


疑問を抱かないわけじゃないけど、まあ、そのままの意味ということで受け取っておくことにする。

と、その時廊下の向こうから同じクラスの子達も戻ってくるのが見えた。


「あ、ルゥナちゃん、メリッサちゃん。」

「あー、二人とも。」


前の方を歩くメリッサちゃんが手を上げて返事してくれたけど、隣のルゥナちゃんは沈んだ表情だ。なんだなんだ、何があった。


「なんか、お疲れっぽいね。どしたの。」

「ははは、ちょっとルゥナが大変だったんだよ。」

「大変っていうか…超めいわく。」

「えー、何があったのさ。」


そこでふと、あの二年生の時の事件が頭をよぎる。

まあ、あの時とはだいぶルゥナちゃんも私達も変わったし、雰囲気からしてもちょっと違うケースっぽいけど。


「あのねー、私達が組んだ子達の組に、なんか別の組の子達が文句付けてきて。」

「ええっ!?なんで!?」


実習のパーティーの分け方は公平だ。

組む相手のクラスだけは決まっていても、更にその中で誰と組むかはくじ引きだから、それこそ運次第なのに。


「その文句付けてきた子、前ルゥナに告った子だったんだよね。」


あー、成程。把握した。


「嫉妬か。」

「うーわー。」

「騒ぎを聞きつけた先生がたも呆れてたよ。大体そんな理由でパーティーの変更が許されるわけないじゃない。」


ごもっともです、メリッサちゃん。


「はは。そんな風だからフられるんだよ。」

「うーわー、グレッチェンちゃん、容赦ない。」

「え、そう思わない?」

「「思う。」」


メリッサちゃんと声がそろえば、ルゥナちゃんがぷっと噴き出す。良かった。少しは気が紛れたようだ。

しかし、美少女も大変だな。故郷でも学校でも変な奴に好かれるとは。


「でも、大丈夫なの?」

「うん。先生がこれ以上いちゃもん付けたり、万が一嫌がらせするようなことがあればペナルティを課す!!って厳しく言ってたから。しかもあのロロン先生。あの先生に逆らう度胸はさすがにないでしょ。」

「あ、ロロン先生が相手か。そりゃ大丈夫だわ。」


ロロン・パーラー先生。

元第二騎士団の副団長という経歴を持つ先生だ。

もう結構な年のはずだが魔法と槍術のエキスパートで、普段は豪快ながらも優しい先生だけどやらかした相手には容赦がないというので有名なのだ。


愛用の槍+強化魔法を駆使して超高速で追ってくるらしいから……うん、実際そんな目に遭ったら命乞いするしかないわ。




そんなこんなで、多少の波乱がありながらも、次の実習の準備は着々と進んでいったのであった。



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