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二人の卒業

今年もよろしくお願いいたします。


「卒業おめでとう。」

「ありがとう。サラ。」

「ディアンも。」

「ああ。」


月日はさらに流れ、ディアンとシャルロッテは今日で卒業です。


あれからこの日まで、王都は平和でした。

そういえば、ヒューナさんからはあれから二度ばかりお手紙が届きました。(キュミラスさん経由で。)

内容によると、あれから必死の研究を行ったおかげで、一つ一つは小さいけれどウィチード、さらにそれより前の古代文明の色々な謎が解き明かされつつある……らしい。

正直、途中から内容がマニアックかつ難解すぎてチンプンカンプンだった。一緒に読んだキュミラスさんもため息ついてたし。


まあ、とにかくあれよあれよと数か月が過ぎ、無事この日を迎えることができました。

二人が卒業出来て本当に良かった。特にディ(ry


生徒がむちゃくちゃ多いので他の学年は式典には参加しないのだけど、こうやって式の後にお祝いの言葉をかけに行くことは許可されているのだ。

私はもちろんディアンとシャルロッテに真っ先に会いに行った。いやー、シャルロッテにはすぐ会えたんだけど、ディアンは中々見つからなかったよ。

やっと見つけたと思ったら、周りのお友達に冷やかされてるし。あーあ、ドンマイ。


卒業式の日は、集会場も立食形式のパーティー会場のようになるのがお決まりだ。

ちなみにここは屋外だけど、雨が降っても魔道具で魔法の屋根を作れるから大丈夫らしいよ。この辺前世より凄い。魔法ドームだ!!と、その説明を聞いたときは興奮したものだ。

そんな会場で軽食をつまみながら、先輩にお祝いの言葉を送ったり、別れを惜しんだりする。地元に帰る人も結構いるからね。

ああ、そういえば去年はチラっと覗いたらメイギス先輩がいたから挨拶とお祝いの言葉を言った覚えがある。あれからもう一年か。元気にしてるだろうか。


そしてある意味今日が特別なのは、生徒や先生に混じって騎士団の人がいるということだ。式典にも上層部の人が来賓で出席するけれど、引き続きこの場にも出席するのだ。

時には、このパーティーの時に騎士団や魔術師団から声をかけられたりすることもあるらしい…ので、意外と在校生の姿もあるみたいだ。いいチャンスだもんなぁ。


さて、ちょうど会場の隅の方の席をゲットできたので、そこで私は二人の予定を聞いた。

シャルロッテはほんと疲れた、と腰を下ろすとくったりとテーブルに突っ伏した。うん。お疲れさま。生徒が多いから式典が超長いんだよね。


「明日から忙しいよ。ほんと。」


シャルロッテはいったんラクラエンに戻ってから進学の準備をするらしいけれど、ディアンはそのまま第二騎士団の宿舎に合流するらしい。

第二騎士団は以前少し見かけたことがある渋いイケメンおじ様率いる騎士団だ。

なんとディアンは上級学校に通うけれど、騎士団にも所属という形になるらしい。前も思ったけど二人ともすごい。なんという有能兄妹。


「あ、団長さん、あそこに来てるね。」

「ほんとだ。お、サーベント副団長も一緒か。」


サーベント副団長?

声につられて恐る恐るそちらを見ると、例の騒動の時図書館で会ったあの第二騎士団副団長さんのお姿が。

団長である渋イケメンおじさまの横に立っているけど、今日は式典っぽい恰好で真面目な感じで立ってる。近くにポールさんを始めとした部下らしき人がいるところを見ると、こういう場でも気は抜いていないらしい。



「前会った時も思ったけど、あの人も若いよねぇ。」

「若いよ。まだ20代じゃなかったかな。」

「第一騎士団の団長さんも同じくらいかなぁ?」

「かな?……と、噂をすれば。」

「うわ、相変わらず目立つなぁ。」


メイギス先輩が所属している第一騎士団の団長さんたちも今日は来ている。

ちなみに、団長さんを見るのはこれが二回目だ。


以前見た時は「ああ…。」と思いましたよ。以前聞いた通り、なんかハデだった。

主に団長さんが。全体的な雰囲気はアルフェ様に近いかな。

背は高い。でも、ごつい感じではなくすらっとした感じ。オレンジに近い金髪と、鮮やかな黄緑の目が印象的なイケメンさん。色彩もちょっとアルフェ様と被る。

ただ、対照的に副団長さんは落ち着いた感じの女性で、なんかバランスが取れているなーと思った覚えがあったのだ。


そして、私が驚いたのは何と第三騎士団の人達も来ていたことだ。いやー、初めて見た。

国境付近の任務が多いらしいから、王都までわざわざ来ないと思ってたんだけど。


「俺も初めて見るな。あの方がベルセバルダ様か。」

「軍人っぽくないよね。小柄で華奢で美人。」


しかも貴族のお姫様。なんか色々凄いわ、とシャルロッテがため息をつく。

まあ、気持ちはわかる。

初めて見るベルセバルダ様は、思った以上に軍人!!??マジで!!?って感じだった。


そして、一番驚いたのは、その不思議な目。


(凄い髪とか目の色の人は何人か見たけど、初めて見た!オッドアイ!!)


右はエメラルドグリーン、左は金色。

綺麗なオッドアイが深いブラウンの髪と相まって神秘的な雰囲気を醸し出しているのだ。

しかし、周りの人から話しかけられても眉一つ動かさないままだ。文字通り無表情ってやつだな。


「で、隣のイケメンさんが副団長さん。」

「セドロシーヌ様だな。確か、前の前の副団長はセドロシーヌ様の兄上らしいぞ。」

「…へえ。」


第三騎士団は一番死亡率が高いと聞いている。

たぶん、セドロシーヌ様のお兄さんも…。

そう考えると、休戦協定が結ばれてから5年位経ってるとはいえ安心はできないんだよなぁ、とちょっと怖くなる。



と、一人でビビってると、その団長さんたち集団から一人こちらにやってくる。

うーわー、サーベント副団長さんだ。


それに気づいたディアンがピシッと背筋を伸ばして立ち上がる。

このあたり、既に騎士っぽいよね。


「お疲れ様です!!」

「やあ、卒業おめでとう。」

「ありがとうございます!!これからお世話になります!!」

「ああ。頑張って励んでくれ。期待してるよ…ん、君たち。」


あ、気付かれた。

ディアンに続いて立ち上がり、私も頭を下げる。


「ご挨拶が遅れ、大変失礼いたしました。サラ・ゴールデンロッドと申します。以前はご指導ありがとうございました。」

「う、うん?」

「私も大変勉強になりました。ありがとうございます。シャルロッテ・アイレスと言います。ディアンの双子の妹です。兄がご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願い致します。」

「……今の子ってしっかりしてるねぇ。」


シャルロッテと以前のお礼を言ったら、副団長さんがため息を吐きながらそんなことをおっしゃる。まあ、私は前世の就活用の知識と、バイトの時の記憶があるから多少はアレでも、シャルロッテはマジしっかりしてると思う。

前世だと中学生くらいの年齢なのに……私が中学生の時、絶対こんなにしっかりしていない。


「あれから王都は平和だけど、他の都市は魔物の襲撃があったり、賊が出たりして結構騎士団も忙しいんだ。早く戦力になってくれると嬉しいな。」

「はい!」

「あ、でも焦りすぎないでね。命あっての物種、だよ。」


ウインクをしながら、軽い調子で言う副団長さん。たぶん、ディアンの緊張をほぐそうとしてくれてるんだろう。

流石上に立つ人間だな。このあたりの緩急の付け方が。


「しかし、双子だったんだ。妹さんはどうするの?」

「私は、魔術上級学校と神学校です。」

「お、君もやるねぇ。ふふ、卒業したらうちも考えてね。魔術師も大歓迎、回復魔法使いは超大歓迎だよ。」


さりげなくスカウトを交えながら、サーベント副団長さんは、私の方も目で促してくる。ひいぃ。


「君は?」

「私は、魔術上級学校に進もうと思っています。」

「へえ。魔術師団とか、騎士団の魔術師枠狙い?」

「……その辺はまだ迷い中です。」

「ありゃ。そうなの?」


以外だー、と呟き、私の顔を凝視するサーベント副団長さん。ひぃぃ、やめてくれー!!

観察するように眺めるのはやめてくれー!!





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