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幻想がぶっ壊されるとき


「サラ、絵本面白い?」

「うん!」

「サラは天才ねー。」


この台詞聞くの何回目だろう。もう数えきれない。








さて、私の趣味は読書です、と言えるくらいに本を読むようになって更に2年が経った。


ジャンルは問わない、という勢いで読んだ結果、結構知識はつきました。読み書きや、知識に関してはその辺の子供より頭ひとつ以上抜きん出てる状態だ。エッヘン。

ま、前世含めれば20才余裕で越えてるから別に威張れないけどな!!



そして、この五年の間一応自分なり学んだ結果、理解しました。この世界は私が思ってる以上にファンタジーでした。


お姉さんが言っていたとおり、魔法はガッツリありました。

そしてリアルっぽい神話もあるし、伝説の英雄、現役の英雄、現在の動向は不明なヤバイ魔王の話もありました。

人種に関しても、人間族に加え、やっぱり亜人種、精霊種等様々な種族がいるみたいです。


(マジで異世界。い・ま・さ・ら。)


読み終わった本をパラパラとめくりながら遠い目をする。


そりゃ、私だって子供時代は剣やら魔法やら必殺技やらに憧れたりもした。物語を読んで、妖精とかについて考えたりもした。

友達と遊びながらバリア!とか、かめ●め波!とか叫んだりとかさー。


でも、それはゲームの中とか漫画を見て妄想するものとしての認識でしかなかった。

何が言いたいかと言うと、ごっこを通り越して、リアルになってしまうと、なんだろう、ありがたみも憧れも薄れてしまうものなのだ。



それには理由があります。

二か月ほど前、たまたま町にちょっと有名な冒険者パーティーが訪れるという出来事があったんです。



冒険者。


前世では物語やゲームの中で。

現世では本や伝聞、噂話の中で。


幾度となく聞いたことはあっても、当然のことながら馴染みのない職業の人たち。心躍りますよ、そりゃ。


ソワソワしながら、両親にどんな人たちなのか聞いてみれば、剣士に魔法騎士、魔法使いに弓使い、という聞いたことあるような編成と職業。…特に『魔法』と付く職業の名前にテンションさらに急上昇ですよ。


当時、まだ生活に使う魔法以外は見たことがなかった私は、ワクワクしながら窓から彼らの姿を覗きこんだのです。が、



「風よ、我の求めに応じ、すべてを切り裂く刃となれ!!」


……

………


だ…



だせえ!!!!




某RPG風ギャグ漫画で、少年勇者様にツッコミが入ってたけど、その気持ちわかる!!!


これ恥ずかしいよ!


いや、実演してくれた魔法使いの人には悪いけどさ!ていうか、有名らしいのに、リクエストに応じて実演してくれた魔法使いの人は気さくでいい人なんだろうけど。

たぶん、この世界の人にとってはどうってことないことなんだろう。実際誰も笑ったり引いたりしてなかった。むしろ皆尊敬のまなざしで見てる。

子供たちなんかポーズをマネとかしちゃってる。むしろ、子供ならその反応の方が正しいんだと思います。



だけど私はむりだー。

かっこいい魔法を使いたければかっこいいポーズと、かっこいいセリフを言わなければならないとかいう制約があるなら、私は魔法を諦めます。


我とか!

ただの町人の私ごときが我とか!!


無理だから!

他の人からツッコミが入らなくても、私が無理だから!!!マジで!!


窓から覗き込むのをやめ、頭を抱えながら、ムーリムリムリと私が一人悶絶していると……



「だよねー。」

「しかもカッコつけてポーズまで決めちゃってさー。」

「クスクスクス」



耳元でなんか聞こえた。

…人を小バカにしたような、悪く言えば、カンにさわる声。


恐る恐る振り返るが、そこには誰もいない。



「???」

「あれ、聞こえてる?」

「で、だってこの子、ほとんど人間でしょ?」

「だけど、今僕らの声に反応したっぽいよ?」


混乱している私の耳に、いまだその声は聞こえ続ける。ていうか、ほとんど人間ってなんだ。悪口か?


とにかく、そっちの方向になんか居るっぽいのは間違いないので、じーっと目を細めてみるが何も見えない。


そこで私は、意図的に視点を変えてみることにした。

なんというか、立体視をするときのように、ピントをわざとずらしてみると言うか、そんな感じ。近くを見てから遠くを見るようにするみたいな。


思い付きでやったことだっったが、それがうまくいったのだ。マジでか。

私の目の前に急にはっきりと、今まで見えなかったものが見えてきたのだ。



「……妖精?」

「え、やだー、ほんと、この子僕たち見えてるよ!」

「キュミラス以来だね!」


いや、誰だよ、キュミラス。

謎の人の名前を挙げる彼?らは小さい、手のひらに収まりそうなくらい小さい、人間の子供の姿に似た存在だった。

ただ、文字通りフワフワ浮いており、皆性別不明ながらも可愛い顔をしていた。ちなみにスッポンポンじゃないよ。なんか薄布みたいな服を着ているよ。


「でもね、ちょっと惜しい。僕らは妖精じゃないよー精霊だよー。」


とにかく、彼らを視認することが出来たのはそのキュミラスさん以来らしい。なんかテンションの上がったらしいその自称精霊四人は、私の頭上で手を繋ぎくるくる周り始めた。



「気づいてくれた♪」

「そーなんだよ、そーなんだよ。」

「あんな、変な口上なんてなくたって、僕たちちゃんと見えてるし、聞こえてるし、理解してるよ。」

「あれって自己満足だよねー。」

「ワレノモトメニオウジー!」

「きゃはは、似てるぅ~。」


精霊、えげつない。

なんか……むかーし、友達の家でやったゲームに出てきた妖精みたい…。

結構前のゲームだったけど、死ぬほど口の悪い妖精が自分の相棒を口汚く罵っていたのを思い出した…流石にあそこまでひどくはないが。


ちなみに主人公が言っているゲームは、ドラゴンが元王子と大暴れするゲームです。

口の悪い妖精さんは相棒を口汚く罵ります。いろんな意味で凄いゲームでした。

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