表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/176

強引な研究員


「んー、次の目標としてはパッツェロにあったという神殿を探す……これしかないね。」


少し興奮が収まったらしいヒューナさんは、腕を組み自分を納得させるようにうなづく。

まあ、ヒューナさん達からしたら、急展開だよね。


「そうねぇ。それにしても…パッツェロの神殿が失われてるなんて。思ってもみなかったわ。」

「そんなメジャーな神殿だったんですか?」

「本国の神殿にはそりゃ劣るけど、地方の神殿の中では格が高い方だったはずよ。」


ルダ様の言う本国と言うのは、別大陸のことだろう。今現在そっちの大陸の大半はコスリア王国が占めている。


それも含めてヒューナさんにルダ様の言葉を伝えれば、既にクールな女性の仮面を脱ぎ捨てたヒューナさんはキラキラとした目で私の手、続いてカナハさんの手をぎゅっと握る。

あ、カナハさんがまた驚いてる。まあ、綺麗なお姉さまに手握られたらそりゃ動揺するよね。私だっておおっ、て感じだし。


「本当に…もう、なんてお礼を言えばいいのか…………えと、ルダ様ですよね。ご協力誠に感謝いたします。我が国ではウィチードの資料は僅かしか残っていないので。我々だけの力ではおそらく水源を突き止めることは難しかったでしょう。」


カナハさんの方を見ながらヒューナさんが頭を下げる。確かに、ルダ様がいなければわからないことだらけだった。それこそ、水源っぽいところを総当たりするしか手段がなかったかもしれない。


それにしても、キュミラスさんはさすがに精霊さん達との付き合いが長いだけある。

もしかしたらこうなることを見越していたのかもしれない。たぶん私だけ着いてきても精霊さん達から必要な情報を聞き出せたかどうかは怪しいと思う。あいつらすぐ話脱線させるからな。しかも人々の営みにあまり興味なさそうだし。


「お役に立ててうれしいわ。」

「心より感謝いたします。……よし、善は急げ!早速パッツェロに向かいましょう!!!!」

「「「……え?」」」


しかし、次の発言には全員度肝を抜かれた。

いやいやいや、お姉さん何言ってますの。


「え、今からですか?」

「当然でしょ!私の車があれば……夕方には着くかな。」


ちなみに今の時刻はもうすぐお昼と言ったところ。

ということは。


「今日中に調査終わりませんよね、それ。」

「うん。調査自体は明日でしょうね。」


何か問題でも?と言った様子で首をかしげるヒューナさん。

いや、問題大ありですよ!!マジ何言ってるんですか!!!


「私、学校が、」

「その辺は父に何とかさせる!」


即答!!

あまりの強引さにあっけにとられてると、ヒューナさんはポケットから小さな魔道具を取り出し、私達から少し離れてそれを使い始めた。

確か前ちらっと見たことがある。通信機能を持つ魔道具だ。つまり携帯電話みたいなもんですな。

ちなみに固定電話のような魔道具は個人宅にもある(我が家にもあった)。ただ、携帯タイプはあまり普及していない。


「そう。そう。うん。だからパッツェロまで行くから。…その辺はどうにかして。え、そのための宮廷魔術師でしょ!」


な、なんか無茶言ってるのがチラチラ聞こえるぞ。てか、相手はもしかしなくてもキュミラスさんかな。

しかし…思った以上にヒューナさん押しが強い。


「とにかく頼んだから。」


あ、最後は強引に切ったっぽい。

がんばれ。キュミラスさん。


「さて。では引き続きお願いね!!」


そして満面の笑みで私達に向き直るヒューナさん。


どうやら私とカナハさんのスケジュールの調整を無理矢理キュミラスさんにお願いしたらしい。おいおい、相手は天下の宮廷魔術師団長だぞ。

キュミラスさんは中々の行動派って言ってたけど、なかなかどころじゃないぞ!すごい人だよ、この人。


まあ、しかし、この現状を放っておくわけにも行かないのも事実だ。

私は再び噴水を見る。


噴水を囲むようにわずかだけど、闇の魔力が地面にも残っているのが見える。

それを探っていると、耳元で精霊さん達が騒ぎ始めた。


「地面からもねー、染みてるよ。」

「魔人の力だよー。」

「うん……。」


以前ここに来た時には、空中にキラキラと舞う水と光の魔力が広場全体に広がっており、非常に幻想的で、清廉な場所といった印象を持った。


それが今はこれだ。


水は水のはずなのに、なぜかどろどろしたような印象を持つ水に変わってしまっている。

魔導士さん達の力かな、結界と思われる魔法で外に闇の魔力が散らないようにはしてあるようだけど、それでも少し気を付ければ闇の魔力が噴き出しているのを感じることができる。


「はーぁぁ。まあ、事態が事態だし、しょうがないか…。」

「お、サラちゃん乗り気になってくれたんだね!ありがとう!カナハさんもお願いできます?」

「カナハ。現状を見る限り放っておくわけにはいかないわ。」

「…ん。」


ルダ様の言葉のおかげか、相変わらずの無表情のままカナハさんもうなづく。

それを見たヒューナさんは更にテンション上昇である。ほんと、第一印象では(ry



「さーて、じゃあ、目指すはパッツェロ山!ほら、早く早く乗って!!!」

「え、すぐ行くんですか?」

「そりゃそうだよ!あ、でもちょっと途中で少し道具とかは買っていくけどね。」


おお、流石に何があるからわからないもんね。傷薬とか買うのかな?

水源がパッツェロ山だとすると、闇の魔力がそこに充満しているかもしれないってことだ。

…闇の魔力を纏った魔物は強いっていうけど、大丈夫かな。


「………大丈夫だ。俺が守るから。とにかく向こうに着いたら絶対に俺から離れるな。」

「あ、はい。」


やべえ、イケメンにイケメンなセリフを言われたはずなのに、カナハさんが長めに喋った!!!という驚きの方が強くて、照れるどころの騒ぎじゃねぇ。


まあ、ヒューナさんも強そうだし、普通に強いカナハさんがいる。私みたいな低レベルキャラでもどうにかなるでしょう。


ゲームのダンジョン突入前みたいな気分になりながら、私は再びヒューナさんの車に乗り込むのであった。


しかし、我ながら楽天的である。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキング参加しています。よろしくお願いします!!
小説家になろう 勝手にランキング cont_access.php?citi_cont_id=159565823&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ