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魔力酔いとは?

「はぁ、はぁ、はぁ……。」

「はい、お見事です。6班もクリア、と。」


屋敷からダッシュで退散した私たちが息を整えていると、クラランス先生がにっこにこしながら記録を付けてくれる。

よかった、無事終了した。しっかり札を握りしめたメメリアちゃんが輝いて見える。いや、うっかりでビビりの私だと、もしかしたら途中で落としてきたとか言う大失態をやらかしそうだからさ。


ちなみに、課題をクリアできなかった班は、これから先生引率で屋敷に入り解説と言う名の補習を受けるらしい。

そう考えるとほんとーーーーーに、一度で済んで良かった。もう一度あそこに行けとか、マジ勘弁である。


「もう嫌…。」

「…がんばれ、カリナちゃん、グレッチェンちゃん。」

「骨は拾ってあげる。」

「気合だよ、気合!!」

「「バカ!!!」」


最終的に、八つの班の中で課題に成功したのは三つの班。先生曰く、毎年こんなもんらしい。


ぞろぞろと補習組が屋敷に入るのを見送る私たちはおとなしく待つこととなる。

ちなみに、私とルカちゃん、そしてルゥナちゃんは待機組だ。あ、ちなみに骨は拾うぜ発言はルゥナちゃんだよ。クールに冗談を言うところが彼女の魅力です。

いやー、二年前迄はまさかこんな軽口を叩き合える関係になれるとは思ってもみなかった。

ちなみに、今クラスで一番ルゥナちゃんと仲がいいのはメリッサちゃんだったりする。ぶつかるのも時には大事だね。


「そんなに怖い?」

「怖いよ。ねえ?」

「まあ、怖いっていうか、不気味っていうか。」

「どこから出るか分からないっていう怖さはあるね。」

「ふーん。」


ガクブルしながら歩いていくクラスメイトの背を見ながら不思議そうにつぶやくのはメメリアちゃん。いや、マジでその度胸を分けてほしいです。


「メメリア、大活躍だったんだって?」

「え、誰がそんな……サラしかいないか。」

「へへ。」


まあ、当然である。それくらい言わせてくれよ。


「だってすごかったんだよ、メメリアちゃん。慎重かつ大胆に進みながらも、要所要所では的確な指示を!」

「そう?」

「そうだよ!!ロビーの扉の所でも、私達みんな気分悪くなっちゃったんだけど、メメリアちゃんだけ平気だったもん。」

「あー、あの扉ね。確かにあの前で私達も手間取った。」

「あれも魔力酔いなのかね。」

「どうなんだろう。」


そこでうーんと考え込む私達。


「どうなんですか、先生。」


メメリアちゃんが近くにいたファジル先生に尋ねる。ちなみにカミーユ先生はクラランス先生と一緒にお化け屋敷の中だ。


「そうですね、気分が悪くなった理由としてまっさきに考えられるのは闇の魔力の影響でしょうか。」

「闇の…。」

「体調に影響が出る程ではありませんが、ここは闇の魔力が集まる場所です。普通に街で暮らしている場合、闇の魔力に触れる機会はめったにありませんからね。気分が悪くなった皆さんは、闇の魔力に体が慣れていないために一時的に悪寒などの不快な症状が現れたのでしょう。」

「なるほど。でもなんでメメリアちゃんだけ大丈夫でしょう?」

「可能性としては、身近に闇の魔力の発生源があるというのが考えられます。メメリアさん、もしかしてご自宅の近くにダンジョンがありませんか?」

「あ、はい。同じ町に。」

「おそらくそのダンジョンが闇の魔力を孕んでいるのでしょう。大規模なダンジョンの場合、驚くほど広範囲に魔力をまき散らしますから。」


おお、私の考察当たってた!精霊補足とキュミラスさんの言葉があったからとはいえ、よく当てた!私偉い!誰にも褒めてもらえないから自分で褒めとく!!!


「でも、普段の生活で魔力を感じたことはあまりなかったようなのですが。」

「ずっとそこにいると意外に気づかない物ですよ。それに、ほんの微弱な魔力でも、長期間浴び続ければ体はいずれその属性に慣れると言われています。その辺はまだ研究段階ですけどね。」


この学校で学んだ今なら、町に満ちる魔力をわずかでも感じられるかもしれませんよ。そう言ってファジル先生は微笑む。あ、これ次に帰省した時は確認してみろって顔だ。

しかし、闇の魔力でも、毎日少しずつ浴びてると慣れるもんなのか…そう考えると、人の適応力ってすごいな。


「あと、魔力の影響を受けやすい体質の人もいますし、その逆の人もいます。ああ、そうそう。髪が長い人は周囲の魔力の影響を受けやすかったりもしますね。」

「え!?そうなんですか!!じゃあ、冒険者になる場合、髪伸ばせない…?」


先生の言葉にショックを受けた様子で黙り込むのは、途中から話を聞いていたらしいピアちゃん…て、ピアちゃん、冒険者志望なの?ちょっと意外。


「それは本当に時と場合によりますね。周囲の魔力の影響を受けやすいということは、魔力自体を体に取り込みやすいということです。すなわち、周囲にある魔力を自らの力にすることができる。」

「はあ。」

「減った魔力を魔力水や休息なしに補いやすくなる。これは冒険者にとって大変な強みですよ。しかし、魔力の影響を受けやすい人が髪を伸ばした状態で高濃度の魔力が満ちるダンジョンに行くのは危険ですねぇ。」


なんか、その説明聞くとアンテナみたいだな。電波の代わりに魔力をキャッチか…。


「対策としては、髪を束ねたり……と、ふふ、戻ってきましたねぇ。」


と、そこで補習組が戻ってきたため、話はそこでお開きとなってしまった。ああ、せっかく興味深い話だったのに。残念。


まあ、今度キュミラスさんに聞いてみよう。



精霊さんに聞いてみるという選択肢が無いあたり、私も段々学んできたというわけである。


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