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はじめまして。光の精霊さん

ブクマ・評価ありがとうございます。


「あらためて初めまして。私はルダ。光の精霊よ。」


無事ディアンとの買い物を終えた後、私は指定された広場の中庭に来ていた。

少し離れたところに目立つオレンジ頭……カナハさんの姿が見える。

なんでも、カナハさんとルダ様は切っても切れない間柄らしく、別行動はできないそうだ。

そして、流石に傭兵団のカナハさんと魔術学校の生徒である私が一緒にいるのは不自然なので、お互い離れたところに座り会話は念話で行う。ルダ様と。


「一応、このあたりの光の精霊のリーダーみたいなものよ。まあ、一時は力を失っていたし、何をするというわけでもないんだけど。」

(失う?)


どういうこと?いや、私も精霊さんの生態(と言っていいのかさえも謎だが)は、完全に理解したわけじゃないからそのあたりはよくわからないんだけど。それに、精霊に上下があること自体さっき知ったばっかりだし。


「かつて、私はこの子、カナハの住む村で祀られてたのよ。」

(神様みたいにですか?)

「ふふ、似たような物かな?でもだんだん忘れられちゃってね。祠も放置状態でまともに魔力が流れなくなっちゃって、その影響で私も力が弱まっちゃうし。で、もう村を出ようかな?って考えていた矢先に…ボロボロな私の祠の前に、同じようにボロボロになったこの子が転がってきたのよ。」

(はぁ?)


おっと、危ない。思わず声が出そうになった。

それにしても、転がってきたって何!?


「まあ、その話は今度カナハに聞いてちょうだい。まあ、そこでたまたま出会ったカナハは、彼の先祖と同じように私の姿が見えたし、声も聞くことができた。だから一緒に村を出ることにしたの。」

(いやいやいや、『だから』ってなぜそうなるんです?)

「利害の一致ってやつよ。私はこの子の先祖……彼が大好きだった。長い旅を終えた後はあの村で一緒に暮らし、その彼が亡くなった後も私は彼の血筋を守っていこうと思って村の祠に住んでいたの。でもねぇ、さすがにあれだけの年月忘れられては…ねえ。」

(あー…まあ、そりゃぁ。)


いくらその人の事が好きでも、本人ではなくその子孫を同じように好きになれるかはまた別の話だ。おまけに精霊さんの言う『あれだけの年月』なんて、何百年、下手したら千年単位だろう。そんなに放っておかれたらもうそろそろいいやってなるのも当然だと思う。


「だけど、祠から離れたかった私だけど……彼の使っていた剣だけは、置いていきたくなかったの。祠と同じくらい長い間放っておかれてすっかり朽ち果てた剣だったけど、それでも。」

(…。)


遠いから表情は見えないけれど、その言葉から本当にカナハさんのご先祖が好きだったんだというのが分かる。

ていうか、旅とか剣とか。カナハさんのご先祖様もカナハさんみたいに傭兵とか、冒険者とかだったのかな。


「でも流石に剣を持って移動するのは色々無理があったのよ。この体だしね。そんな時この子が転がってきたの。しかも驚いたことに、この子は私の事をはっきり認識してたのよ。彼の子供たちでさえ私を見ることはできなかったのに。」

(そうなんですか?)


あら、意外。こういうある意味才能?って、必ずしも遺伝するわけじゃないんだね。まあ、ルダ様の姿が見えてればもっと大事にするわな。


「そりゃそうよ。貴女のその力だって、ご両親から受け継いだものではないでしょう?まあ、とにかく、そこで私たちは取引をしたわ。私は残った力でこの子を癒す。この子は剣と私を持って村を出る。」

(出なきゃならない理由があったってことですね。)

「察しがいいわね。詳細は私からは話せないけど、とにかく私たちは村を出たわ。そしてこの子がより安全に過ごすにはちょっと見た目を変えた方がよかったの。いくら大きくなっても小さい頃の面影とか、身内に似てるとかで村の人間にバレるかもしれなかったからね。だから私は普段はこの子の目に宿っているの。そうすれば、私の魔力で目の色が変わるから。」

(なるほど。光の精霊さんだから、黄色……っていうか、金色の目になってたんですね。)

「そう。この子の故郷は青い目の人間が多いから、ちょうど良かったのよ。」


村を出なきゃならなかったって、いったい何があったんだ。

ていうか、聞き逃すところだったけど、その言い方だとまだ子供の頃に村出たっぽいな。よっぽどの事情だろう。


「あ、この子の名誉のために言っておくと、この子は一切悪くないわよ。」


私の沈黙で疑問を感じ取ったらしいルダ様がそう補足してくれる。カナハさんの頭をポンポンしながら。カナハさんは微妙な表情だけど。

まあ、カナハさん、不愛想だけど悪い人じゃなさそうっていうのはなんとなくわかる。


「まあ、その後カナハごと傭兵団に拾われて今に至るって感じかしら。さて、私がこうしている理由はこんなところだけど……貴女はどうなのかしら。」

(…私は、小さい時に町に訪れた冒険者の人が唱えた呪文に文句を言う精霊さん達の声が聞こえて…。)


あの幼少時の思い出を説明すれば、ルダ様は微妙な表情で視線をさまよわせる。


「あー…。まあ、呪文は無意味じゃないんだけどね…必須かと言われたら…。」

(アルフェ様も呪文は使っていませんでしたね。)

「あはは、なんで様付けなの?」

(いや、周りの人がつけてたので、なんとなく。)


なんか笑われた。突然恥ずかしくなったぞ。


「あの子は私がカナハを通して指導したから。あ、あの子は私のことも知ってるわ。直接話すことはできないけれど。」


精霊さんに魔法習うなんて…しかも高位の精霊からなんて!カナハさん、魔法エリートか!!


「だから、アルフェはもちろんカナハも剣士でありながらそこらの魔導士より何倍も優秀な魔法使いなのよ…ふふ。でもそんな彼らでも貴女があのロックベアの攻撃を避けた時の動きは捉えられなかった。」

(うっ、)

「尋常じゃない早さだったわね……。」

(そ、それは、)


あ、ダメだ、隠し通せる気がしない。

ていうか、精霊さん達からいずれバレる気がする。ていうか隠し通すのはマジ無理っぽい。

ここは正直に話そう。


(時の神様が助けてくれました。)

「時の神様?というと、リューズ様……いえ、彼女は、」

(リューズ様?)

「ううん、こっちの話。そっか、今の時の神様は新しい神様だったわね……。」

(二代目って言ってました。)

「時の神様の加護をいただいたなんて。運がいいわねー。」

(加護なんですか?これ。)

「助けられたんでしょ?加護以外の何物でもないわよ。しかも上位神。私みたいな神様に近い扱いっていうのとは違って、あちらは正真正銘の神様なんだから。」


そう改めて言われると恐縮だな。しかも偉い神様なのか…。そう考えるとあのおじいさんも、美人のお姉さんも、私と焼き加減について話したイケメンさんも上位の神様である可能性が高いな。


「カナハに私がくっついてるのもある意味加護だけど…そういう関係じゃないんでしょ。巡回中だったのかしら。」


首をひねるルダ様。私も理由は分からない。心当たりがあるとしたら、生焼け(嫌な表現だ)状態で生まれ変わってしまった事くらいかな?そのことに対するお詫びとか。アフターサービスの一環ていうことかも。

でも、さすがにこの世界の精霊さんであるルダ様が、あの転生システムについて知ってるのかどうかは不明なので、その辺は黙っておくことにしたのだった。




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