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思いがけない出会い




「え、ど、どうなってるの。」


周囲は靄がかかったようにぼんやりしているように見えた。

ちらりと横を見れば、驚愕の表情で固まったディアンと、更に向こうには焦った表情でこちらに駆け寄るチャラ男さんとオレンジさん。


だが、皆人形のようにぴくり、とも動かない。

な、なにが起こってるの?ま、魔法?でもロックベアも動かない。ついでに周りの風とかも感じない。

マジで動いているのは私と、目の前の少年だけっぽい。あ、ヤバイ。理解不能。キャパオーバーです。


思考停止状態の私だったが、目の前の少年がふかーいため息をついてから説明してくれる。呆れた表情で。


「まあ、理解できないのも無理ないか……。今俺とお前以外の時間は止まっているからな。」

「え゛」

「名乗るのは初めてだな。俺はフォウ。時間を管理している。」

「管理……てことは、やっぱり神様ってことでいいんですか?」


確かに、見た目は若い…というか、子供そのものなんだけど、その眼だけ妙に大人びていてアンバランスな印象を受けるんだよね。

それが只者でない感を強めているというか。ていうか…そうか…やっぱりあの時あった人々は神様だったのか。


「あんまり名乗りたくはないが、一応そういう役目だな。」

「ず、ずいぶんお若いんですね。」

「あそこにいた面々に比べれば若いのは確かだな。まあ、俺は二代目だから。」


あっさりと言われてびっくりする。神様って、代替わりするの!?


「まあ、その話はまだ今度だ。しかし…お前、せっかくの命を…。」

「え、」

「まあ、それが人ってもんだろうな。どうせ考えるより体が先に動いたんだろ。」


ぶっきらぼうだけど、突き放すような感じはしない。

アレか、ツンデレとかそういう人種か?神様相手に不敬かもしれんが。


「とにかく、あと10数えたら時間が再び動く。お前は……この角度だな。」


そう言うと神様は、私のほっぺ…というか、顔をぐいと押した。やだこの神様、乱暴。

助けてくれたんだろうということは理解できるけど……扱いがね……優しいんだか優しくないんだかようわからん。


「よし、これなら大丈夫だ。あとは何とかなるだろ。」

「え、ちょ、」

「じゃあな。」


言いたいことだけ言って、神様はスゥ、と消えていく。

いや、助けてくれたのはありがたいけどさ!もうちょっと説明とかさ!おい!!!



「サラ!!」

「ほ?」


瞬きをする間もない、次の瞬間。

私に突き飛ばされたディアンの叫び声が聞こえたと思うと、私の顔スレスレを、何かが凄いスピードで通り抜ける。そしてゴスン、という重い音。


眼だけでそれを確認すれば…巨大な岩だった。


……さっきのアレが無かったら、確実に私の頭が持っていかれそうなくらいの大きさである。

胃のあたりがきゅぅ、となる。と、同時に血の気が引いた。



「お前、今の…いや、よく避けた!!」


そう叫ぶと、オレンジさんは両腕に力を纏わせ走り出す。


「はぁ!」


渾身の力の、突き。

魔物の喉元付近をぶっさすと、続けざまに頭上から炎が降ってくる。チャラ男さんだ!


それが着弾する前に、オレンジさんは魔物の体を足場にして力を込め、刺さった剣を横に薙ぐ。それだけで、魔物の首の三分の一くらいは裂けているようだ。正直、グロい。

しかし、コンビネーション凄いな。オレンジさんが魔物から飛び退いた瞬間、チャラ男さんの炎の攻撃魔法が炸裂する。タイミングがばっちりなのだ。


それに感心しながらも、いつの間にか私をかばうように横に来ていたディアンの表情をちらりと窺ってみる。

意外にも彼にビビった様子はない。

……私よりずっと場数を踏んでいるのだろう。


「グォォォ!」

「まったく…手古摺らせやがって…。」


心底めんどくさそうにオレンジさんはつぶやくと、剣を構えなおす。

その刀身は、きらきらと輝いていた。

え、何アレ。光の魔力がまとわりついてる。


「消えろ。」


そうつぶやくと、オレンジさんは再び魔物に向かって突進すると、ボロボロになりながらもグネグネ暴れる魔物の裂けた首に剣をぶっ刺した。そして更にそれをグイっと回す。痛い痛い痛い!見てるだけで痛い!

更に魔力のせいだろうか。その抉られた傷口が焼けるように変化していく。しかし、見た目とは裏腹に焼けこげる感じではなく、なんというか、浄化?っていうのか?清浄な感じがした。うまく説明できないけれど。


流石にこれには魔物も耐えられたなかったらしい。グォと最期に小さく鳴くと、そのままその巨体は地面にズドーンと倒れる。

どうやら無事倒したようだ。



「よし。終わったな。……大丈夫?」


チャラ男さんが、こちらに走りながら聞いてくれた。


「私は大丈夫です。ディアンは?」

「あ、ああ。俺も大丈夫です。」

「そうか。良かった。ごめんな、怖い思いをさせた。」


フォローも完璧なチャラ男さん。こりゃモテますな。

感心していると、オレンジさんも剣の血を拭いながらこちらに歩いてきた。


「ん?」


だが、その時私は気づいてしまったのだ。



オレンジさんの目の色……あれ?青い。スカイブルーっていうの?薄めで明るい水色。

さっきまでは、髪と近い黄色っぽい目の色だった気がするんだけど。気のせいかな?


いや、ここまで色が違うと印象がガラっと変わるから、さすがに気のせいじゃないや。え、え、どういうこと?


そこで私の視線に気づいたのか。

オレンジさんはちょっと目を細めた。いや、もう遅いっす。



「カナハ、隠す必要ないわ。」


と、そこで謎の声が聞こえて私は固まってしまう。


だけど、私も伊達に10年以上過ごしているわけじゃないのさ。

気付きましたよ。気付きましたとも。


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