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探し人は黒髪美少女


その後、皆でゾロゾロ教室に戻ったけど、ルゥナちゃんの姿はなかった。

いつもは教室で真面目に予習復習してるのに。


「探す?」

「でもどこだろう?」


この学校の休み時間は長め。20分くらいかな。たぶん移動教室が多いのと学校全体が無茶苦茶広いせいだと思う。

ちなみに、次の授業は魔法理論…この教室での授業である。眠くなる授業筆頭である。



おっと、それより今はルゥナちゃんの居場所だ。

たぶん、興奮して教室から飛び出したはいいが、戻り辛くなっていると思われる。

あの状態からしれっと教室に戻ってこれるのは、相当なメンタル強者だけだろう。

さっきの表情を見た私達からしたら、それはないと断言できる。



「私、探してみるねー。」

「私も。」


ルカちゃん、カリナちゃん、グレッチェンちゃんも一緒に探すみたい。更に他の子も。

さっきルゥナちゃんともめた子達も一緒だ。皆優しいな。



「何処かなぁ。」

「図書室とか?」

「うーん。」

「あそこ、いっつも人は結構いるからなー。」


まあ、この場合人の多い所にはいないだろうけど…確かに、図書室は基本静かで、皆黙々と本を読んでいるので落ち着ける場所ではある。

ただ、落ち着ける場所ではあるが人が全くいないということは考えづらい。よく行く私が言うのだから間違いない。と、いうわけで今回のケースではルゥナちゃんがいる可能性は微妙かな。


「どこか一人で落ち着けるところにいるとは思うんだけどねー。」

「後は、中庭とか?」

「トイレとか。」


皆がいくつか候補を挙げる。

図書室に中庭、トイレに屋上…。

まあ、そのあたりが妥当か、と言われる場所ばかりである。

しかし、そこから絞り込むにはさすがに時間が…。




「あ。」



そこで私はあることに気づく。


そういえば、すっかり忘れてた。

普段あまり役に立たない(失礼)から、人探しや物探しにあの人たちを頼るという感覚がすっかり抜け落ちてた。




(精霊さん!!)

「なーにー?」


はい、呼べばすぐ答えてくれるあの人(?)たち!!



そう、精霊さんたちです!!!

彼らの情報共有能力は、とんでもない。

乱暴に言えば、魔力のある所ならどこでもいるようなもんらしいのだから。



(クラスメイト探してるの!頼める?)

「いーよ!どんな子?」


そして二つ返事。

直接コミュニケーションをとれる人間がごくごく稀なせいか、彼らは基本こちらのお願いを断ることはない。

聞けば答えてくれる存在なのだ。(チョロいともいう。)


ただし…。


(美少女!黒髪!クール!見かけなかった?)

「えー、びしょうじょ?」

「美少女って…どういう子?」

「え」


感覚が人間とはやっぱりちょっと異なるので、こちらの伝えたいことが理解されない事が多少どころか、多々あるというのが困った点かな!!!

今回もどうやらその事態に陥りそうだな!あはは!!!



「サラちゃん、どうしたの?」

「へ?あ、な、なんでもないよ!」


まずいまずい、思わず声が漏れた。だいぶ慣れたとはいえ、いまだに時々やらかすから気を付けないと。


(…マジかよ)


今回の教訓。

…精霊さんに、人の美醜の区別はつかないらしい。

人と姿が似てるから感覚も近いと無意識に思ってしまうのだが、こういう時につくづく人とは異なる存在なんだなぁと痛感させられる。


しかし、ここであきらめるわけにはいかない。

先ほどの質問の何が悪かったのかと改めて考えてみると…。うーん、主観的な考えは伝わりにくいのかな?美少女とか。

もっと客観的な…。

それでいて具体的な…。



(黒髪!!)

「サラみたいな色?」

(そうそう。そして私より長くて、高い位置で縛ってる!)

「うんうん。」

(私と同い年の女の子!)


しかし、そこまで伝えてから後の指定に悩んでしまう。

服装は制服だから共通だし、同級生で黒髪ポニーテールだって絶対一人だけじゃないし。

えー、どうしよう。

他に精霊さんがわかる特徴…特徴…。



だが、そこでまた私は気づいた。

気付いたというか、思い出した。



(ま、魔力の乱れてる子!!渦巻いたり、体から漏れたり!!)


そうだ!

それがあった!


さっき、ルゥナちゃんはあれだけ興奮し、叫び飛び出していった。

いくらこの時代の人間が、大人びてしっかりしているとはいえ、そこはまだ10歳になるかならないかという子供。

ほんの十数分程度ですぐに落ち着きを取り戻している可能性は低い。


そして私も経験があるが、魔力は感情の影響を非常によく受ける。

イコール、ルゥナちゃんの魔力も現在乱れに乱れているのではないだろうか。

まあ、さすがに魔人化するほどではないと思うが…それに万が一そんなことになったら、この精霊さん達が流石に無反応と言うことはあり得ないだろうしね。



とにかく、感情が高ぶると魔力はつられて乱れるのだ!

流石にその条件を満たす子が多いとは思えない。



「あー、あっちに走ってった子?」

「黒髪の子ー。」

「サラと同じくらいの大きさの子ー。」


よっしゃあ、ビンゴ!

私も少しかしこさが上がったかもしれない!精霊さんへの意思疎通能力も1上がった!(気がする)


まあ、そんなアホを考えている場合じゃない、問題はどうやってそこにさりげなく行くかだ。


「どこから探す?」

「えと、図書「な、中庭とか。」


皆が私を見る。

…やっぱり、今のは不自然だったよね。


「え、でもここからだと図書室の方が近いよ?」

「い、いや、やっぱり図書室だと人がいる可能性高いし!中庭の方が人目に付かないと思うよ!」

「そーお?」


王都の学校だけあってこの学校の図書室は無茶苦茶広い。

騎士団、魔術師団と共用しているくらいだしね。

そこを探すのは言い方は悪いが、時間の無駄だ。休み時間終わる。


「まあ、中庭の方が隠れやすいか。」

「図書室、いっつも先輩たちがいるもんね。」


よっしゃ、皆の意見が中庭推しに傾いてきた。

もう一押し!


「そうそう、それに図書室には司書さんもいるし先生がいることも多いから、様子がおかしければ声かけるだろうし、授業の時間になれば教室に行くように言うと思うよ。」

「あー、ルゥナちゃん真面目だから、先生とかに言われたら教室に戻ってきそうだしねー。」

「じゃあ、中庭に行こうか。時間も無くなってきたし。」


カリナちゃんのその言葉に、心の中でガッツポーズ。


そして、私たちは怒られない程度の速足で、ぞろぞろと廊下を進んでいくのだった。



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