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憶測と配慮


ルゥナちゃんの足音があっという間に遠ざかっていく。


残されたのは、私達クラスメイト。みんなあっけにとられて固まってしまっていた。



「なに、アレ!!」

「感じ悪い!!」


と、ようやく我に返ったらしい女子数名からそんなキツい言葉が飛ぶ。

まあ、感じは確かに良くはないが…。



私は隣にいたカリナちゃんと、そのまた隣にいたグレッチェンちゃんと顔を見合わせる。

ああ、二人にも見えたんだね。


「でも、ルゥナちゃん、泣きそうな顔してた。」

「うん。私にもそう見えた。」


二人が続けざまにそう言えば、文句を言っていた子達も口をつぐむ。

それ以上言わないところを見ると、彼女たちもそう悪い子じゃないらしい。



「なんか、事情がありそうなんだよね。余裕がないというか。」


私がそう続ければ、他の子達もうーんと考え込む。

さっきのムカつきなどどっか行っちゃった様子である。悪い子どころか、結局皆いい子たちだな。


「宮廷魔術師にならなきゃいけないって言ってたねー。」


それも、「どうしても」。


「宮廷魔術師団に入るのって、上級学校に行ってから試験受けるんだっけ?」

「うん。しかも誰でも試験を受けられるわけじゃないんでしょ?」


ルカちゃんが補足してくれる。どうやら宮廷魔術師団の入団試験は成績が一定の水準に達してなければ門前払い状態らしい。

エリートですか。そうですか。


「だから私たちのことライバル視してるのかな?」

「でも、ルゥナちゃん頭いいよね?実技も得意みたいだし。」


話の発端からしてもそれは皆わかっている。授業中でもよく先生に褒められてるしね。


例えるなら…なんとなくハリ●タのハー●イオニーみたいと思っていた。人付き合いの悪イハーマ●オニー。家柄は知らないけど。



「ルゥナちゃんってどこの出身かな?」

「…確かロメロって言ってた。」

「ロメロ…。」


聞いたことあるよーな…。ないような…。

まあ、あんまりピンとこないってことは、もしかして中央からは遠いのかな?


「シュノーブルよりさらに東だね。」

「遠いねー。」


私の考えを肯定するかのように、シュノーブル出身のカリナちゃんがそう教えてくれる。


「どんなとこ?」

「うーん、シュノーブルは大きい港があるし、結構栄えてる町なんだけど…隣のロメロはあまり大きい港は無いし、町自体の規模も小さいはずだよ。言っちゃ悪いけど結構田舎。」


言いづらそうに声を落とすカリナちゃん。まあ、他にもロメロ出身の子がいるかもしれないしね。


「マノイとシュノーブルの間だね。マノイはダンジョンが近くにあるからそれで結構賑わってるけど、確かロメロはそういうのも無かったと思うよ。」


補足してくれるのは、黒ウサミミっ子こと、メメリアちゃん。


「サナーフェルっていたでしょ。あいつもマノイだよ。」


メメリアちゃんの言葉にサナーフェル君の自己紹介を思い出す。ああ、確かにそう言ってた…かなぁ?一年以上前のことだから記憶が曖昧だ。


「他にロメロの子っていたっけ?」

「いやー?うちのクラスにはいない、よねぇ?」


その問いにその場にいた子が全員首を振る。

どうやら、ルゥナちゃん以外にロメロ出身の子は少なくとも女子にはいないようだ。


「そういえば私、昔、おばあちゃんに言われたなぁ。」


メメリアちゃん、そこで何かを思い出した様子。…おばあちゃんもウサミミなのかな。まあ、それは今は置いておこう。


「ロメロはちょっと、閉鎖的だって。よそ者に冷たいって。」

「?なにそれ?」

「ロメロって、海があることはあるんだけど、崖っぽい場所が多くて大きい港が無いんだって。それに山に囲まれた場所が多くて、他の町との行き来もほとんど無いんだってさ。」


ああ、たまにあるよね。海の町だけど、意外と海の近くに山のある土地。この世界にもあるんだ。


「若い時にたまたま行ったら、ちょっと…アレだったみたい。」

「アレ?」

「なんか…話しかけても、全然知らんぷりされたり、泊る所も無かったり。」


言いづらそうなメメリアちゃん。まあ、特定の土地の悪口は言いづらいよね。

まあでも、その話を聞いてなんとなく、納得。



「ルゥナちゃん、そこから逃げたいのかな。」

「え。」


私の呟きに、グレッチェンちゃんが振り向く。


「いや、宮廷魔術師に入れば、基本ずっと王都なわけじゃん。」


魔術師団は宮廷魔術師だけではない。

騎士団と同じように、地方を守護する師団だってある。

その中でも宮廷魔術師団は、王族や首都を守護する役割を持つ。

地方への遠征がないとはいえ、基本とは王都のでの任務が中心だ、とのこと。(だからキュミラスさんは私とよく会うのだろう)


「あー。そっかぁ。」

「家族と仲悪いのかなぁ。」

「なのかな?」


皆、うーんと考え込んでしまう。

他の子には想像のつかない世界らしい。(仲がいいということか)

故郷から逃げたいんじゃない?というような話を聞いたとしても現実味がないのだろう。まあ、それじゃなくても10歳になるかならないかの子供にはピンとこないよな。



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