08 家電支配の野望、あるいはふいごろの夢
さて、かなりGoogle Homeとの同居生活にも慣れてきました。
私はChromecastも利用して楽しんでいました。
原稿を書く際のBGMを流すには最適でしたから。
クラシックからロック、歌謡曲、邦楽、アニメソングまでなんでも聞く私にとってなかなかいいおもちゃでした。
ところが、どうも夫は違ったようでした。
夫は元々音楽をあまり聞きません。
カラオケで流行りの曲を歌うこともありますが、あくまでも付き合いの上のこと。
吉田拓郎や岡林信康の曲は好きみたいですが、BGMにすることはありません。
Google Homeで音楽を聞くことなど考えてもいません。
むしろ、夫は家電のコントロール機能に強く惹かれていたようなのです。
身の回りのものを支配したい、そんな欲求は誰にでもあるものです。
私も否定はしません。
夫は他人を支配することよりも自分の身体を支配するのが好きな人です。
体重が増えると身体が動かなくなるからと食事と運動で二十代の頃の体重体型をほぼ維持しています。
アスリートでもないのに体脂肪率が一桁代、健康診断の血圧や血液検査項目は毎年正常です。
そういう夫ですから、自分の肉体だけでなく、身の回りの家電をも支配したいと思うのは当然のことかもしれません。
いえ、人間には大なり小なりそんな願望があるのでしょう。
だからこそ、スマートホームというものも生まれたのかもしれません。
夫の野望は私も理解できます。
声だけでエアコンや照明がつくというのはふいごろにとっては夢のような話ですから。
私たちは電気屋へ行くと、家電コントローラー、スマートリモコンなるものを探すようになりました。
電気屋に置いてある家電コントローラーは一、二種類しかありません。
ネットの買い物関係のサイトでスマートリモコンで検索しても数種類。
少ない中から絞ったのはNature Remo。
複数の家電のコントロールができて、機能も豊富らしいのです。
Google Homeと連携して声で家電が操作できます。
スマホのGPS機能を利用して家電の遠隔操作もできるのです。
でも、置いてある店はありませんので、ネットで探すことに。
ネットにはありました。一万超えます。なぜかどれもほぼ同じ価格です。
まあ、しばらく様子を見てからと思っていました。
ところが、こういう時に限って困ったことが起こるものです。
梅雨のさなかに仏間のエアコンのリモコンが壊れているのが発覚しました。
動かないので、電池を入れ替えても駄目。
リモコンを買おうかということになった時、そうだ、この際だからスマートリモコンを買ってGoogle Homeで制御できるようにしようという話がどちらからともなく出てきました。
(実はリモコンが壊れていてはスマートリモコンにリモコンの登録ができないのですが、その時は知りませんでした)
よっしゃということで、ネットで調べると、どのショップもほぼ値段が同じ。
というわけでよく使うA社のサイトで購入しました。
朝注文すると午後には発送され、翌日の午後に到着しました。
これもまた小さな箱でした。
Chromecastの箱より少しだけ大きく、厚みがありました。
さてここで問題が生じます。
Remo(長いので略します)の設定にはスマホが必要です。
対応しているスマホのandroidのバージョンは5.0以上。
つまり、5.0に満たない私のスマホでは無理ということです。
夫のスマホを使わねばならないのです。
というわけで夫のスマホを借りることに。
幸い到着した日の翌日は夫は休み。使用することはないので借りることができました。
ただ、この先、夫がいない時にトラブルがあっても自分のスマホで対処できないというのは不安です。
思わず買い替えを考えました。
でも本体を買って四年しかたっていないし、カメラの画素数も多くて使いやすいし……。
何より、スマートホーム化の出費がこれ以上増えるのは困ります。
設定のためにスマホまで買うというのは本末転倒です。
それに、スマホの引っ越し作業って結構面倒なのです。
買い替えは別の機会、スマートホーム関係の機器設定で夫のスマホが対応できなくなった時と決めました。
さて設定です。
でも、今回はChromecastどころではない事態が次々に起きました。