16 さらば、Chromecast
この連載の05に登場し、06で悪戦苦闘して設定したChromecast。
2018年の5月初めに我が家の家電の一員に加わりました。
ところが、突如2019年12月某日をもって、役目を終えました。
一年と約七か月。
引退にはあまりに早過ぎます。
壊れたわけではありません。
何故、そんなことになったのか。
その顛末をこれからお伝えしたいと思います。
事の始まりは今から一年ほど前。
日曜日に家族で家電量販店めぐりをしていた時のこと。
特に何かを買う気もなくのんびりとテレビの売り場周辺を歩いていました。
最新のテレビを見ていると、ひときわきれいな画像を映し出すテレビがありました。
有機ELパネルです。
我が家のテレビは液晶です。
10年前ブラウン管から買い換えた時の感動は今も忘れられません。
現在も健在です。
けれど、有機ELパネルはまったく違いました。
色鮮やか。
黒の発色がいいのです。
しかも4K放送が見られると。
いつかは買いたいということでその日は終わりました。
なにしろ、はいすぐに買いましょうと言えるお値段ではありませんでしたから。
それに4K放送は昨年2018年12月1日から始まったばかりです。
その頃は始まる前後で、視聴に何が必要なのかもわからなかったのです。
その後も量販店に行くたびに実機を見ました。
カタログも集めました。
価格比較サイトで値段を調べたり。
といっても今すぐ買うつもりはありませんでした。
4K放送に熱心と思われるのは公共放送くらいですから。
(現在でもキー局の4Kの番組表はほぼBSと一緒なので、新聞の番組表には4Kは公共放送しか掲載されていません)
今のテレビが調子が悪くなったら買い換えようという程度の考えでいました。
とりあえず、あの会社の55型が安くなったらと、価格を時折チェックしていました。
そうこうするうちに十一月。
消費税が10%になったこともあり、しばらくは様子見だと思っていました。
が、価格比較サイトを見ると、やや値段が下がっています。
税込みでこの値段!
これはもしかしたら買い時かもしれないと思いました。
ラグビーワールドカップも終わり、来年の東京五輪までまだ時間があるこの時期、しかも消費税増税後です。メーカーは少しでも売りたいのでしょう。
それに、ネットで価格が安くなっているということは実際の店舗でもそれなりに安くなっている、あるいは交渉次第では勉強してもらえるかもしれません。
しかも近所の家電量販店では、録画用のメーカー純正ハードディスクを同時購入すると3万円値引きというキャンペーンをやっています。
これはいいかもしれない。
現在使っている液晶テレビはいいテレビですが、音質に不満がありました。
耳の悪い家族のために字幕表示にしています。
購入を検討しているテレビは音質も悪くはなさそうです。
それにテレビの補修用部品は製造打ち切り後8年保有ですが、現在のものは購入して10年以上たっています。この先故障が起きたら修理ができるかどうかわかりません。
資金については、家電買い替え用に積み立てている貯金があります。
グーグルさんを購入する時は予定外の出費だったので買うのに躊躇しました。
今回は高額ですが、いずれは買い替える予定のもの、購入を決定しました。
勿論、言い値で買うつもりはありません。
11月末の日曜日、電気店に行きテレビ、ハードディスク、それに手元で聞けるテレビスピーカーを合わせて購入し、少々値引きしてもらいました。
配達は12月の日曜日ということにあいなりました。
配達まで日がありましたので、LANハードディスクの録画を共有ファイルに移動させました。
新しいテレビはLANハードディスクの再生は可能ですが、録画はできません。
共有ファイルに移動させないと再生ができないのです。
ブルーレイレコーダーのハードディスクに入っている録画も整理し、必要なものだけブルーレイに移動させました。
意外とそちらの手間がかかりました。
テレビ本体や周りも掃除し、ついにその日がやってきました。
配送・設置、4K放送が見えるかまで確認してもらいました。
その間、30分余り。
あっという間でした。
さすが配送のプロです。
4K非対応のレコーダー経由の接続でしたが、無事に4K放送を見ることができました。
4K非対応レコーダー経由だと4K放送が見られない場合もあると書いたネットの記事があったので心配していましたが、我が家の場合は何の支障もありませんでした。
入れ替わりにこれまで10年以上働いてきたテレビは下取りされました。
ありがとうと見送った後、新しいテレビの美しい映像や充実した機能をあれこれ確認しました。
当然ですが、色は各段に違います。
特に金色。
黒だけでなく、金色が綺麗というのは意外でした。
たまたま古代エジプト関係の番組が放送されており、黄金のマスクがあまりに鮮やかだったので、家族一同驚愕しました。
音もよし。4K放送は音質がいいのでスピーカーはそれを生かせるいいものになっているようです。
そして機能。
衝撃でした。
テレビはネットにつなげないと機能を十分生かせないのです。
リモコンの下部にはネット動画サービスのボタンがありますが、それ以外の機能もネットにつながっていることが前提になっています。
前の液晶テレビではデータ放送の天気予報などでネットを利用したり、LAN接続のハードディスクを使っていましたけれど、新しい機能はほぼネット利用が前提になっています。
最新のテレビのカタログを見ると全機種LAN端子が付いています。
一種を除いて無線LANも内蔵。
ネットにつなげることを前提にしているのです。
さらに衝撃の機能が。
ボイス機能といって、テレビやリモコンに話しかけるだけで電源のオンオフ、音量アップダウン、チャンネル切換、番組検索等ができてしまうのです。
カタログで見て知ってはいましたが、実際にやってみると感動です。
「オッケー、○○○(テレビのブランド名)、テレビつけて」
と言えば、テレビの電源が入るのですから。
当然ですが、YouTubeも。
パソコンやスマホで見ていた動画をテレビでキャストもできます。
あれ、これって、Chromecastと同じ……。
いや、それ以上かもしれません。
さらには、スマートスピーカー連携も。
「オッケー、グーグル」で指示ができるということです。
本体やリモコンを使うボイス機能ではできない字幕表示の指示もこれを使えば可能になります。
録画予約も声でできます。
このテレビ、声だけでとりあえず必要なことはできるのです。
連携方法はメーカーのサイトに掲載されていました。
早速やってみました。
Nature RemoやChromecastよりも早く設定できました。
というわけで、Chromecastは退場となりました。
勿体ないです。
昨年5月に税込み4978円で購入。
19カ月使ったので一か月あたり262円。
一か月30日として一日あたり約8.7円。
でも、テレビ一台だけでChromecast以上のことができてしまうのです。
そうなると、重複する機能を持つChromecastの出番はもはやありません。
テレビまわりの電源を一つ空けることができますし。
(Nature Remoはエアコンや照明のコントロールができるので、まだ大丈夫)
それにしても、テレビは単なる映像機器ではなくなったようです。
ネット家電、いえスマート家電です。
何をいまさらと思われる方も多いと思いますが、10年以上前はまだネット家電という意識でテレビを購入することはありませんでした。ましてやスマート家電なんて。
ネット利用はソフトウェアを更新し、LANハードディスクで録画ができて、気象情報が手に入るという程度。
ところが、今は動画をテレビ番組表だけでなく、ネットでも検索。録画番組のシーン検索もネットにつながっていないとできません。テレビとスマートスピーカー、スマホはホームネットワークにつないで連携。
立派なスマート家電です。
ネットワークとの橋渡しをしてくれたChromecastがなくても独立してネットと接続するのですから。
ありがとう、Chromecast!
テレビのコントロールの面白さを教えてくれた君を忘れない。
というわけで、スマートじゃないスマートハウスに新たにテレビが加わりました。
でも、上で書いたボイス機能とスマートスピーカー連携にもちょっとばかり問題があります。
他にもいろいろと。
それについては次回。