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混沌の器  作者: 子子子子 子子子
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第1章 オワルニチジョウ 第1話 ジンセイノセンタク

亀ならぬナメクジ並みの更新速度になると思いますが、よろしくお願いします。

この世は、不思議で溢れている。

そして、人生の岐路はいつも突然に現れ、選択によりその人の今後を大きく変えてしまう。

(わし)にそんな人生の岐路が訪れたのは、小学3年生の夏だった。




△▼△▼△▼△▼△▼△




(わし)の名は、天月 乙姫(あまつき つばき)という。

私立御穂志(みほし)学園女子部1年D組(1-D)に通う、()()高校生じゃ。




御穂志学園は、元々女子校で、生徒数の減少により、学園の運営委員会は、共学化によるてこ入れを図った。

しかし、学園の最大の出資者である卒業生(OB)達から、「男女が同じ(私達は男子との)校舎を使う(接点が無かった)のは、風紀(のに後輩達に良)の乱れにつ(い思いをさせて)ながります(たまるか!!!)」という指摘(やっかみ)に、運営委員会は、「確かにあの時期の男子は、物事が下半身に結び付き易い」と自分達の体験から、その指摘を受け入れたのだった。

しかし、運営のてこ入れもしなくてはならず、共学とは名ばかりの男女別校舎制度をとることにした。


元女子校の共学化と聞いて、「自分にも可愛い彼女ができるかも」と淡い期待を胸に入学した男子生徒を待っていたのは、セキュリティーゲートと学園の敷地中央に(そび)え立つ中央棟、3mを超す塀と鉄条網、そして、校門に立つ竹刀を持つゴリマッチョの体育教師だった。

胸に抱いた淡い期待を、粉々に粉砕され、女子と接する機会がなくなった男子は、次第に同じ男子の中に女子の代わりを見出だすようになった。

背が低く華奢で、中性的な顔立ちの女子と見紛う男子、所謂男の娘だった。

男子達は、こぞって男の娘に告白したりデートへ誘ったりしたが、いくら見た目が女の子のようでも男の娘だって男子である、当然のごとく返事は「ノー」の一点張りだった。


女子は近くにいるのに会えず、頼みの綱の男の娘にも告白を断られ続け、男子達はフラストレーションをため続けた。

そして、満たされない欲求は良識という枷を解き放ち、青春の情動を爆発させた1人の男子生徒を獣へと変貌させ、事件は起きた。

それは、男子生徒は、告白と見せかけ体育館裏に男の娘を呼び出し、そこで煮えたぎる青春の情動を男の娘にぶつけ、無理やりに肉体関係を迫った♂×♂(アーッ!)な事件だった。



その事件を受け、学園は女子部の全生徒と保護者に説明を行い、男の娘を女子生徒として女子部で保護をする校則を作った。

事件を起こした男子生徒は退学になり、被害にあった男の娘や他の男の娘も、女子生徒として女装を強いられることになっても、「同じ男にケツを狙われるよりは100倍はまし」とその校則を受け入れた。




その校則を受けて、(わし)は、女子部の生徒となった。

家に近かったこと、女子の制服が可愛かったこと、そして何より10年以上前にできた男の娘を女子生徒として受け入れる校則が在ったことで、(わし)はこの学園に進学すると決めた。

それは、小学3年生の夏(わし)が選んだ人生の結果でもあった。




△▼△▼△▼△▼△▼△




(わし)が小学3年生になった春、母様(ははさま)が務める製薬会社で、新薬が3種開発された。

それは、LGBTの性的マイノリティーを持つ人達に向けた薬だった。

愛する人がいても、その人との間に子ども(愛の結晶)を授かることができない、その悩みを解決するために開発された薬だった。

そして、その年の夏、ちょうど学校が夏休みに入る時期に、3度目の臨床試験が行われることになり、母様は(わし)と幼馴染の東風谷 奏(こちや かなで)をそこに割り込ませた。


奏は、家が隣ということもあり、休みの日は(わし)の家に入り浸り、自分の家のように過ごしていた。

だから当然、母様とも仲が良く、母様の仕事の話も聞かされていた。

そして、母様から新薬の話を聞いた奏の目の色が変わり、母様にあるお願いをしていた。

それは、「乙姫を女の子にすること、そして、わたしは女の子同士で赤ちゃんを作れるようにすること」とのことだった。

元々、娘が欲しくて息子である(わし)に乙姫と女子(おなご)の名を付けた母様は、二つ返事でそのお願いを受けてしまった。

母様が娘を欲しがっていたことを知っていた(わし)は、母様の喜ぶ顔が見たくて、そのお願いを受け入れた。

男から女に変わるだけでも、その後の人生が変わってしまうとわかっていたが、それ以上の変化が訪れるとは誰も思っていなかった。



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