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冒険者登録

翌朝

「あれ?俺って昏睡状態?」

未だにこの世界にいることに愕然とする巧。あまりに長い夢だなと感じた巧は現実の自分は意識不明の重体なのでは?と解釈した。

「仕方ない、意識が戻るまでこの世界のルールにならいますか。」

巧は冒険者登録をすることにした。




(そういえば、ステータスとかあるのかな?)

巧は試しにステータスを念じてみる。確かにステータスは表示された。だが、

(所持金以外は?になってんじゃん!しかも、所持金もおかしい!)

巧がステータスを見れないのには理由がある。隠蔽スキルというのがあり、そのスキルがカンストし強力すぎるため自分でも見れなくなってしまっていた。辛うじて所持金が見れたのは解析スキルもまたカンストしていたからだった。二つのスキルレベルが同じの場合、所持金以外隠蔽スキルが優先されてしまうのだ。

巧は見ることができないが、就いてるジョブは『全てを統べる者』。『全てを統べる者』というのは存在する全てのジョブの熟練度を限界まで上げることで手に入るジョブで全ての戦闘スキルが使える。ちなみにジョブは全部で100を超える。

所持金はおびただしい数の9が並んでいた。

(ああ、100の位の8が唯一のオアシスだよ…。というより早く俺目を覚まさないかな?爺ちゃんと婆ちゃんも心配してるだろうし…。)

何故両親のことが出てこないかというと巧が保育園児の時、保育園まで送っていく帰りの途中で事故に遭い亡くなってしまっているからだ。そして、残された巧を引き取ってくれたのが、祖父母である。祖父母は両親を亡くし、病んでいた巧を可愛がってくれていた。

巧は天才ではない。自分の世話をしてくれた祖父母に恩返しするために勉強も運動も頑張り、優秀な成績を修めてきたのだ。高校を卒業し、給料の高い職業に就いて祖父母を安心させ、どこか連れていきたい…というところであったというのだが、

(早く目を覚ませ、俺!って言っても無駄か…。焦ると反って状態が悪くなるかもしれないし。俺にできるのは、時間を潰すこと…か。楽しんだ方が精神が安定して良いかもしれないしな。)

巧はギルド本部へと向かっていった。




「すみません、冒険者登録をしたいのですが。」

「冒険者登録ですね?こちらにお名前をご記入ください。代筆は必要ですか?」

「(何故か文字がわかるな…。)いえ、大丈夫です。自分で書けます。」

巧はペンを握る。そこで、違和感を覚えた。お金の時にも感じたが触覚があまりにもリアル過ぎるのだ(布団は病室で寝かされているのと同調していると思っていた)。それ以外にもギルド本部内にむさ苦しい男が集まっているために臭う汗臭さ。触覚と嗅覚が現実だと言っていた。

(あれ?これ、現実(マジ)なのか?)

「お待たせしました。こちらがギルドカードとなります。再発行には100sいただきますので、ご注意ください。」

「あっ、ありがとうございます。」

「ギルドについて説明は必要ですか?」

現実かもしれないと感じ始めた巧は説明を聞きギルド本部から出ていった。




(元の世界に帰れない…。詰んだよ…。)

ディメンション・ロードは要約すると王道的な魔王を倒すのが目的なのだが、一度倒すとクリア。だが、ゲームでは(・・・・・)何度でも遊べるようにその魔王は何度でも蘇るようにできている。裏ダンジョンのボスを倒せば帰れるかもしれないが、そこまでいくのに当時のプレイ総時間は1000時間(一日二時間)かかった。おまけに現実と化してしまったこの世界ではもっとかかる可能性が高い。つまり、数年は帰れない。それもあるが、一番の理由は仮に帰ることができても向こうで幽霊扱いされるのは明白だった。

「この世界で生きていくしかないのか…。」

巧は絶望した。

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