∫[0→sin⁻¹√(1-1/e¹⁰)]tanθdθ話 奇々怪々。それに至るは己の弱さ。
そういえばこの作品、ナレーションは3人称です。1、2、3話は表記揺れがありますが、まだそこらへんが固まっていなかったのでご愛嬌です。
『歩のない将棋は負け将棋』
弱い駒でも大事—— という意味であるが、ゼロはもちろんそんな格言など知らない。
けれど、最弱であろうモンスターですら攻略者を撃退することができた。
だからこそ、その理屈は身に染みている。
そのため、弱かろうと新しくモンスターを生成し、数を増やそうとしているのだが——
ゼ「DPが足りねぇ……」
新酢の生成でDPは0になり、時間経過による回復を待つばかりだった。
と、思われたが、攻略者撃退でDPが入る。
そして———
ゼ「50DP入ってる!!時間は1時間で10DPだから…結構美味しいかも?」
ゼ「Logは10Logだけど……0よりはマシ!」
ゼ「てことで…」
デフォルメされて思ったより可愛いが、愛でる気にはならない小太りの禿を横目に、
ゼロはポチポチとWRITE画面を弄り、手に入れたLogでガチャを引く。
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浴 2% E+ランク
薬 0.05% Dランク
蔵 2% E+ランク
剣 0.002% C+ランク
皮 3% Eランク
小 1% D-ランク
盤 2.3% E+ランク
髪 3% E-ランク
釘 2% E+ランク
薄 3% E-ランク
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前と同じように、質量保存をはっ倒す出方をする文字に対し、ゼロは喜びの声を上げる。
ゼ「お!今回は分かる漢字が多い!!前の鰯とか踝とは雲泥の差!」
ゼロはガチャの結果に喜んでいると、また重低音が聞こえる。
前より大きく。殺意が込められて。
すると、通知が来た。
『警告。略奪者がダンジョン攻略申請をしました。1時間後に攻略が始まります。」
『ダンジョンを攻略された場合、ダンジョンは略奪者に譲渡されます。ご注意ください。』
『※攻略申請中、攻略者はダンジョンに挑めません。』
ゼ「また攻略者か。…いや違う。略奪者だ。」
ゼ「というかなんか不穏なこと書いてある…」
ゼロは若干の恐怖を感じながら。胡座をかいて対策を考え始める。
この洞窟は水音ひとつもしない。考えるのには適している。
ゼ「持ってる漢字は16個。だから作れるモンスターとアイテムは合計8つ。」
ゼ「DPはゴブリンと同じ量なら大丈夫。」
独り言を呟きながら、自身の持っている情報を整理していく。
———数分後。
ゼ「やべぇ…全く思いつかねぇ……」
考えても考えても、国語力のなさが祟って、有効打になりそうな単語は思いつけなかった。
そのため、乱数で決めることにした。
その結果———
ゼ「『鰯』と『踝』」
ゼ「………なんでよりにもよってコレなんだよ!?」
思いつく限り最悪の組み合わせだ。
頭の中で決めたと言うのに最悪のものになると言うことは
ゼロの乱数は正確だったようだ。
ゼ「₁₆C₂= (16 × 15) ÷ (2 × 1)=120」
ゼ「なんで120分の1引いちゃうかなぁ!?」
ゼ「けど乱数は絶対か…しょうがねぇ……」
WRITE画面を苦虫を噛み潰したような顔で生成画面まで行く。
ゼ「『鰯』と『踝』……乱数は絶対乱数は絶対乱数は絶対乱数は絶対・・・」
暗示のように「乱数は絶対」と言い続けながら、ゼロは、ゆっくりと、生成ボタンを押す。
DPが消費され、モンスターにしては小さい光が引くと同時に現れた。ソレは。
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NAME イワシのくるぶし
EFFECTー ITEM 消費すると、自身に混乱を与える。
L DUNGEON 設置すると、ダンジョンに敵対する鬼系のモンスターの
手足の関節に継続ダメージを与える。
FLAVOR TEXT
存在しない物。それでも鬼にはイワシだと分かるらしい。
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眩しさで目を瞑っていたゼロは、ゆっくりと目を開ける。
そこには、鱗の生えたくるぶしがあった。
しかも、ぬめりを帯び、微かにイワシの生臭を放っていた。
ゼ「え…?」
一瞬、脳の強いストレスによる精神的なフリーズが起きる。
言い換えるならば、脳が真っ白になった。
次の瞬間、やるせない呟きが聞こえる。
ゼ「これで8つの中の1つ使ったの…?」
ゼ「……ふざけんなよ!?!」
ゼ「なんだよイワシのくるぶしって!?鱗の生えたくるぶしなんか誰が見たいんだよ!?鬼も見たくないって言ってるよ!?」
ゼ「そして実用性が無駄にありそうなのがムカつくぅ!!」
ゼロの大きな愚痴が洞窟内に木霊する。
ゼロは、放心しながら『イワシのくるぶし』を眺めていた。
ソレは、洞窟のほのかな光を反射して、ぬらぬらと光る。
イワシ特有の生臭さは鼻腔を刺激しながらも、
イワシには絶対存在しないくるぶしの輪郭ははっきりしている。
ゼ「———こんなの見ててもなんも変わらないな…!」
ゼ「よし!もう一回脳内乱数行こう!!」
ゼ「『薬』と『霧』…!強そうかも!?」
WRITE画面をさっきとは打って変わって、口角のy座標が上がった状態で弄る。
ゼ「設定完了!!いいの来い!!」
ゼロは声を張り上げて生成ボタンを押した。
FDO豆知識
モンスやアイテムの強さは漢字のランクでは決まりません。
組み合わせで決まります。例えば、
童 D-ランク + 子 E+ランク = リトルキングゴブリン(酒呑成り得る餓鬼)で、ゴブリンの10倍の強さは確実です。




