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第5話

俊の帰り道。

というか、帰宅後。

「俊ーーーー!!!今いるー?」

隣のベランダから声が聞こえた。

「何だ、亜蓮か。いるけど何ー?」

「何だとは何だー!てかそれより、夜宵はーー??」

「あーなんかバスケ自主練するから遅くなるとか言ってたな」

「え、そうなの?・・・んじゃ俊の方に飛び移っていいーー?」

「なんでそうなる」

「えー、だってお菓子の試作品、食べてみてもらおうと思ってたのにー」

「・・・菓子くれるんだったらいいけど」

「最初っからそのつもりなんですけど」

そういって、亜蓮は俺の部屋のベランダに、当たり前のように飛び移って来た。

「はいコレー、この前あげたシュークリームに改良を加えて、クリスマス仕様にしてみましたー。名付けて『クリスマスエクレア』!!」

「そのまんまじゃん」

いくつかあるうち、適当に選んで食べてみた。

「どう?」

「んー?うまいよ。甘すぎなくて俺好み」

「そかそか、よかった!夜宵と好み似てて助かったよー」

お菓子の話はひと段落して、別の話題に入る。

「そーいえば、お前、夜宵と付き合うって言ったんだって?」

「あーうん。まだ好きとかよく分かんないけど、そのうち分かるって桜が言ってたから」

「ふぅーん。ってか、それだったら、俺んとこ来ていいのかよ。夜宵、怒るぞ」

「え、何で?今までもここに来たことあるじゃん」

「いや、付き合ってんのにそいつほったらかしで別の男の部屋に来るとか違くね?」

「あー、そっか。そーいえばそうだね」

(・・・こいつ、付き合ってるって意味分かってんのか?夜宵が可哀そうだ・・・)

「ほら、分かったら自分の家戻れ―――って・・・はぁ・・・」

亜蓮はベッドに背中をあずけるように寝ていた。

「おい、亜蓮!起きろ!このままだとお前じゃなくて俺が夜宵に怒られる!」

「ん~眠い~・・・あとちょっとだけ・・・」

「・・・くそ。そんなことしてると、お前のこと、盗っちまうぞ・・・」

亜蓮の寝顔を見つめながら、消え入るような声で、囁いた。



+*+



翌日。

「えっ、クリスマス?普通にバイト入れちゃった」

「・・・・・・」

夜宵はガッカリしすぎて黙り込む。

「なんか、まずかった・・・?」

「あんた・・・クリスマスはカップルの重要イベントの一つだろーがっ」

「そ、そうだった・・・今年も、私か夜宵か俊の家でご飯食べながらやるのかと思ってた!ごめんね夜宵!!」

そういって夜宵に抱きつく。

「いーよ、俺も部活あるし。バイト終わる頃迎えに行く」

「分かった!」

「甘っ!!てかあんたたち付き合う前と変わってないね。別にいいけど」



+*+



昼休み。

亜蓮は木に登っていた。

「はいよー、もう飛ばさないように気をつけてねー」

「ありがとー」

なぜかというと、友達がうっかり風で飛ばしてしまったプリントを取る為であった。

そして、下から何やら話し声が聞こえてきた。

「好きです!」

(・・・ん?)

見ると、圭吾が告白されていた。

「ごめん」

「じゃあっ、あの、クリスマスだけでも一緒に・・・」

「ごめん、それもできない」

「そうですか・・・」

告白した女の子は、ちょっと寂しそうに去っていった。

「意外だねー、それくらい付き合ってあげるのかと思った」

「うわっ!何してるの亜蓮ちゃん!!」

「人助け」

「そんなところに登って何を・・・というか、心外だなーオレだって本気には本気で答えますよー。少しは見直した?てか亜蓮ちゃんすごいね」

木から飛び降りた亜蓮を見て、圭吾が言った。

「・・・うん」

「え?なんかいった?」

「見直した」

「―――・・・」

「じゃーね」

圭吾は照れ気味に、亜蓮の背中に向かって小声で言った。

「・・・それはどーも」

―――みんな、恋してるんだなぁー。

私もいつか、恋になるかな?


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