第3話
この小説のほかに、DグレとREBORNの二次元小説も書いています。
放課後。
「あ!夜宵!!これから部活?」
「うん。あ、圭吾先輩」
「圭吾!?」
びっくりして、亜蓮は後ろを振り向く。
「おー夜宵か。レギュラーになったんだって?」
「先輩は戻らないの?」
「ああ、今のところは、ね」
「バスケ部つながりか・・・」
疎外感を感じる。
「あ、亜蓮ちゃん!」
「え!亜蓮と知り合い!?」
「うん。告って―――」
「!?」
「ふられたー」
それを聞いて夜宵は安堵のため息をもらす。
「ちょ、なにこの子!こんなに分かりやすかったっけ!?」
そう言って、圭吾は夜宵に抱きつく。
「ギャーー!離れろヘンタイ!!」
「あははーまたねー♪」
ごきげんな様子で、圭吾は去っていった。
「なんなのアイツ!」
「あの人は春までバスケ部にいたんだ。すごくうまくて全国大会まで行ったけど、大会が始まる前にやめたんだ。今はあんなだけど、昔は違ったよ。すごくバスケが好きそうで楽しそうだった」
「?んじゃなんでやめたの?」
「キャプテンの彼女を取ろうとしたんだ」
(昔から軽いじゃんかーー!!)
「―――っていう噂」
「噂?」
「圭吾先輩、否定も肯定もしなかったから」
「ふぅ~ん・・・」
「でも俺は、違うと思う。その噂のせいで部の不陰気が悪くなったから、大会前にやめたんだと思う」
「・・・なるほどね」
「今はキャプテン引退したから、戻ってくればいいのに」
「夜宵優しい!」
今度は亜蓮が夜宵に抱きつく。
「///////」
抱きつきながら、亜蓮は思う。、
(夜宵がそこまで言うんなら、嫌な奴じゃないかもしれない)
+*+
「圭吾!」
体育館に向かう途中、声が聞こえた瞬間、反射的に亜蓮と夜宵は物陰に隠れてしまった。
「待って!」
「あ、あの人だよ。キャプテンの彼女」
「えぇーー!!」
ついつい大きな声を出しそうになって、亜蓮は口をおさえた。
「ごめん、圭吾。本当は私の方が悪いのに・・・でも、あの時かばってくれて嬉しかった。私のこと、少しでも好きだと思ってもいい?圭吾が好きだって行ってくれるなら、私あの人と別れる!」
「はぁ~!?何あの人!誰でもいいのかっ!」
「しっ」
そして、少しの沈黙の後、圭吾が口を開く。
「・・・先輩、オレ・・・・好きな子がたくさんいて!先輩も好きだけど一人とか選べないんだよねー!ごめんねー」
(か、軽ーーーーー!!!一瞬同情した私がバカだった!帰ろ)
亜蓮が帰ろうとすると、キャプテンの彼女が怒ったように言った。
「・・・許さない」
そして、彼女は圭吾に歩み寄り、キス寸前まで顔を近づけ、携帯で写真を撮った。
「これ、ばらまいたらどうなるかな?」
にやっと笑う。
その様子を見ていた亜蓮は思わず飛び出していた。
ガッ
素早く携帯を蹴り落とす。
「きゃっ」
「亜蓮ちゃん!?」
続いて、倒れた彼女の真横の壁に鉄拳を叩き込む。
前回と同じく、ひび割れができる。
「・・・嘘、嫌い」
「ご、ごめんなさい」
そして亜蓮は素早くその場から立ち去る。
「亜蓮ちゃん!!」
その後を圭吾が追いかける。
「いったー!なんなの!?いいもん、まだ写メが・・・」
「先輩」
彼女の前に夜宵が歩み出る。
「これ、ばらまいたらどうなるんだろ?」
さっきの一部始終の様子を撮った写メを見せながら夜宵は言った。
その瞬間、彼女の顔が青ざめた。
「亜蓮ちゃん、待ってよ!さっきの手、大丈夫―――」
「何で誤解を解こうとしなかったの?」
「え・・・」
「責任を負ったり、かばったりするのはかっこいいかもしれない。だけど、私は嫌い」
―――この人はお父さんじゃない。
だけど、どこか重なって見えて・・・
―――怖くなった。
二度と、あんな思いはしたくない。
「自分を大事にしてよ」
そして、亜蓮の目から涙がこぼれる。
「なっ、何で亜蓮ちゃんが泣いてるのーー!?」
「うるさい」
「・・・ふぅ。退部したのは自分のためだよ」
「え?」
「誤解を解いてもきっと悪い不陰気は残るだろうから、バスケを嫌いになる前にやめたんだ」
―――好きなものを、好きでいるために・・・。
「それに・・・女の子とも遊びたいしね」
チュッと亜蓮の手にキスをした。
「――――――!!!!」
「てなわけで、亜蓮ちゃん、やっぱりオレと付き合わない?」
「付き合うかーーー!!!」
バシッと圭吾の手を平手打ちする。
「いってーー!!」
+*+
「あーもう!また途中までいいやつじゃんとか思ってしまった!!」
「キスされてたね」
「うわーー!夜宵!?見てたなら助けてよ!」
「顔、真っ赤だよ」
「これは違う!怒りで!怒りでだから!!」
「・・・おもしろくないな。聞いて、亜蓮」
「な、何?」
「好きだよ」
「ん?あ、うん、私も好き―――」
チュッ―――
夜宵は亜蓮の唇にキスをする。
「俺の好きはこういう好きだよ!」
―――恋をするなら、理想があったハズ。
だけどなにやら―――思考停止。